日本でオーダースーツを仕立てるならどこがいいか 4 後

マーチャント(商社・生地問屋)とミル(織元・生産工場)がある。それぞれのミルには特性がありスーツ地が得意、フランネルが得意、カシミヤが得意、リネンが得意などがある。マーチャントがデザインや企画しそれぞれのミルに発注している場合が多いので、ミルが独自に出しているものと違う場合がある同じや同等の質の生地であったとしても多少価格差がある、マーチャントの方が2割位は高いだろうか、更にそれを日本や代理店で買うと高くなる。

ここ最近どこにでもあるラグジュアリー ファブリクスの鶯色のエスコリアル(ESCORIAL)のバンチにしたって、織元はリード&テイラー(Reid&Taylor)で、日本で代理店を通して買えば税込31000円/m。着分だと93000円。着分9万円の生地って中々高いが、エスコリアル原毛生産量はカシミアの100分の1だし、質的にもタッチはカシミアのように滑らかだがハリコシや耐久性やウールの特性もある非常に良いの素材だ。一昔前に比べれば安いというべきなのだろうか。他で買ってもミルが協会で6社に限定されているのでハズれが少ない。生産量が少ないから色柄のバリエーションは少ないが、カシミアのネイビージャケット作るならエスコリアルの方が良いかと思う。
ロロピアーナ(Loro Piana)のカシミア生地なんて織も甘いし弱いからすぐに毛羽立ってモワっとなるから止めた方がいいし、カシミアジャケット作るならピアチェンツア(PIACENZA)、ジョシュア エリス(Joshua Ellis)、ジョンストンズ (JOHNSTONS OF ELGIN)などの方が良いと思う。しかもロロピアーナは2013年にLVMHに買収されて以来、カシミアの質は更に悪くなったように感じる。LVを始めグループのプレタに良いカシミア原毛を優先的に回し、ロロピアーナのプレタは被らないようにベビーカシミアや特殊生地に寄せている。勿論カシミアは原毛生産量の4倍以上市場に出回ってるので粗悪品や変な混ぜ物や偽物買うよりは良いとは思う。
ウールにしたって今や中国の出荷量はオーストラリア・ニュージーランドを足した量より遥に多い。

スキャバル中級以上のスーツ生地を織ってるのはバウワーローバック(Bower Roebuck)でそちらから選べば生地代なんて半額近いだろう。キートン(Kiton)、ブリオーニ(Brioni)の生地も織っている。

彼は良くチェザーレ アットリーニ(Cesare Attolini)を着ているのでイタリア生地はどうだと薦めてみたところ、行った所でどう説明されたのかは分からないが僕のこの友人には英国生地が良く、イタリア生地は良くないとのイメージがあるようだが、それぞれ一長一短だから使い分けの問題だとも思う。英国生地は質実剛健で重めで耐久性もあり仕立て栄えする、イタリア生地は軽めで色柄などデザイン性に長け柔らかくドレープ性があると言ったイメージだろうか。チェックなどに関してはメーカーやシリーズなどに拘らず色柄のみでまず選んだ方が方が良いと思う。

イタリアブランドは大概イタリア生地が多いし、気に入ってるから既製のそれを買っていると思うのだが服のデザインは気に入っているが生地感は気に入っていなかったとかなら分かるが、ならそもそも無理して買わず好きな所で好きな生地でオーダーすれば良いのに。チェザーレ アットリーニが好きなのにイタリア生地は良くなく英国生地が良いなどというのは、おかしい話だ。イタリアはダメで英国はいいという業界のイメージ戦略がうまくいっているのかもしれない。モクソン(MOXON)なんて良い例か。海外サルトリアのトランクショーなどでも既製ブランドやサルトリアの名前が入ったバンチを持ってくる所もあるだろうけど、その場合は大体中身はイタリア生地で、織元はデルフィノとかその辺。その話はまた今度。

確かにホーランドシェリーの生地はイタリアでも良く扱われているが、それは価格が安くてそこそこ良いからって程度の理由でどちからというと入門編、日本では何故か高級生地で最高の玄人生地のようなイメージがあるようだが。しかも特殊な生地以外の殆どの生地の生産は南米で行われていて、イギリス産を謡う為に仕上げなど規定の最低限の事だけイギリスでしている。イタリアだと日本の半額近いんじゃないかな。別に南米の薫りがする訳ではないが。

ヴィンテージ生地に関しても余り興味がないと言うかヴィンテージだからという訳ではなくて良いなと思って買った生地がたまたまヴィンテージである事が多かった。
その昔ヴィンテージのデニムなどが流行った時も全く食指は動かなったか、それを着ている人もかっこいいと思わなかった。しかし僕自身ヴィンテージやアンティークの工芸品や美術品などは好きで良く買うから古き良きものへの興味が無い訳ではないとは思う。
ただヴィンテージ生地や古い生地でも大して良くもないものを、新品の白いスニーカーの気恥ずかしさと中古のこなれた安心感や調和感みたいなものに流されて選ぶべきではないと思う。どうせ何年か着てればそうなる。

ヴィンテージ生地は基本的には売れ残りであるものが多い、トラウザースのサイズだと良い生地が残ってる場合はあるが。
それに経年劣化やカビや虫食いや最低限必要な脂分の抜けや保管状態が悪く仕立てや実際の着用やクリーニングに耐えられないものも多い、2、3シーズン普通に着てたらボロボロやクタクタなんて事もあるだろう。革製品のように保湿クリームが塗れる訳ではない。
変なストライプやチェックやただ無駄に分厚いだけの生地を現代にないヴィンテージ生地感や脂分が抜けたバサバサの生地を売る為に脂の抜けた良い感とかいう店などもあるだろうし、致命的なミスをした場合にどうするかなど、客が気に入ったり持ち込んだとしてもその辺のリスクを説明したり一筆貰わない店はどうかと思う。
手持ちの古い服やサルトリア系の古着屋などを見れば仕立や生地による経年劣化の良し悪しなども参考になるだろう。

例えばヴィンテージ生地、ドーメルのマジック・スーパーブリオ・ロイヤルブリオ・トニック・スポテックス、スキャバルのムスタング、タイタン、モンテゴベイなどが分かり易い例だろうか。良く同じメーカーが同じ生地を作ったとしても風合いが違うと言われるが、例えばトニックだったらそもそも混紡率が違う、1957年に発売されたトニックは縦糸にウール41%、横糸にアルパカとキッドモヘア59%、アルパカは柔らかやな滑らかさと放熱性の為に少量入っている。原毛も織機も違うがアルパカも抜いてあるからそりゃ同じ風合いにもならないし、染色の微妙な差もあるのだろう、同シリーズの生地でも生産時期によって若干色目や質感が違う。80年代には製造停止で新しくても35年前の生地だから劣化してるものが多い、例えばブリオならドーメルから同じ混紡率で同等の生地が出てるからそちらを買えば半額程度だし、別に何が悪いって事もない。だって同じ会社が出さなくなった事は売れないものだろう、今時上記例のヴィンテージを名前だけで喜んで買うのはセンスや洋服発展途上国の日中韓位じゃないかな、余りオススメ出来ない。しかもモヘアは生地状態のままでも湿度による劣化が激しいし特に元が硬めの昔のモヘアは裂けやすいし原毛の表面がツルツルしているので撚糸がほつれやすい、原毛自体が硬いものの場合は余計にそうなる。昔僕もロイヤルブリオでは作った事があるが。

モヘア系や春夏ものなら例えば現行のスキャバル(SCABAL)のコットン/カシミア、マーチンソン(Martin&Sons)のフレスコ、、エドウィン ウッドハウス(EDWIN WOODHOUSE)のエアー ウール、エスコリアルやジョンクーパーのエスコリアル/SKM、テーラー&ロッヂのゴールデンベール/SKM、ウィリアム ハルステッド(William Halstead)のカンデブーモヘア/ウール辺りも良いんじゃないかと伝えた。ソラーロは日本ではキツイだろうし。
スポテックスが欲しいなら現行のVINTAGE SPORTEXの方が380g/mだし良い気する。
重めの生地ならエドウィン ウッドハウスの6PLYは良かった。現行のスタンドイーブン(STANDEVEN)のヘリテージツイストやリア ブラウン&ダンスフォード LBD(LEAR BROWNE & DUNSFORD )のオイスターも良いかと。

確かにヴィンテージ生地にしかない良さもある、それはもう手に入らないものや入りにくいもの。
例えばアイリッシュリネン、元来は北アイルランドの亜寒帯の小さな地域で栽培されそこで糸に紡いだものを指し、クリーム系の淡いシャンパンゴールドの生成り、質感はハリコシがありながら柔らかくしなやかな風合、繊維自体は強く長いからネップも無い、洗濯や摩擦にも強く通常皺や裂けが出やすいが出ない、最高品質のタイシルクのようで春夏にはもってこいの生地だ。
しかし1973~80年のオイルショックの煽りを受けて北アイルランドの紡績工場の殆どは廃業した、70年代後半には原材料の亜麻(フラックス)の栽培も終わってるので最低でも40年以上前のものとなる。値段はシルクと同等の高級品で高い技術が必要だった。元の生成りの色が全く違う、今のものはグレージュでロシア・ベルギー・フランス辺りで栽培されたものをベルギーやイタリアで紡績し生地にしている。粗悪品は代替品のヘンプが使われたり混ぜられたりしている事が多いが硬くゴワゴワしていて折ったような皺がでる。
たまにヴィンテージのアイリッシュリネンと言って売られている生地があるが、ただのシングル幅のリネン地で脱色染色して見た目だけ似せてる偽物というか違うもの、ゴールド味の濃いシャンパンゴールド系なんかは特にそうだ。
以前プロフェソーレ ランバルディの㏋でアイリッシュリネンが宣伝されているのを見かけたが、どうせウィリアム クラーク (William Clark) 辺りに注文をかけたものだろう。スペンス ブライソン(Spence Bryson)のリネンとかも良いと思うが、ウィリアム ビル (W.Bill) やハリソンズのバンチから選んでも結局同じことだから、色や重さで選べば良い。この辺のリネンは原材料がベルギーやフランスだからベルギッシュリネンみたいなもの、ただ南米で作られるホーランドシェリーが英国生地ならこれをアイリッシュリネンと呼んでも差し支えないだろう。

良く昔は原毛がとか言うがこのオイルショック近辺を境に多くの生産者や紡績工場などが廃業したり方向性を変えた、世の中の需要も変わった、今や殆どが経営統合されて大手資本に経営統合されて傘下グループ化されている所ばかりだ。
紡績や織の技術は年々進歩し現代の環境に合うように改良されている。確かに昔の生地は低速織機で人の目と手が微調整をしていて目も詰まっていて、まだ織機や紡績の技術が発展していなかった故に生地感や表情が豊かなものもある。
例えばジョンクーパーのドブクロス(DOBCROSS)などは良い、現在のレピア式やエアジェット式織機など高速織機と違い、昔の低速のドブクロス織機で熟練職人が木製シャトルを使い丁寧に織り込むので40m/日程度しか織る事が出来ない、6倍の時間が掛かる。昔のドブクロス4PLYなどなら更にmを織れない。世界に現存するドブクロス織機は14台でその全てがここにある、というかここにしかない。ホーランドシェリーのヴィクトリーなどは傘下のここが織元だ。
ジョンクーパーのドブクロスはSuper140'sWithカシミヤ&シルバーミンク340g/mなど現バンチもあるので良いかと思う。

低速織機なら国内に数台しか現存しない超低速のションヘル織機(シャトル織機)を使い熟練職人達が丁寧に織り上げる葛利毛織もある。日本の堅実さもその生地に良く現れているし非常にコスパも良い、このまま良い生地を織り続けて欲しい感から応援もしたくなる。葛利のドミンクス(DOMINX)、3,4PLYは良いと思う。僕もここの生地で作った事もあるし何着分かストックがイタリアにも置いてある。
国産なら今や無用の長物だが鐘紡のカレッジフランネルも良かった、これも織機を貰った先で復刻があるな。
フランネルならアーサーハリソン(2080 HARRISONTEXフラノ)やジョシュア  フランス(JOSIAH FRANCE)やドーメルの10.000やフォックス ブラザース(FOX Brothers)のエスコリアルフランネルとかも良いな。

ヴィンテージの定義は30年以上前、アンティークは100年以上前だろうけど、古くても良いものもあれば古いと良くないものあるだろう。
その辺の定義に拘らず良い保管状態で倉庫に眠っていた新古品というかデッドストック品、5,10,15年前に廃盤なったものなどや、生地感や色柄が気に入ったり現代にないような珍しい混紡率のものなどは良いとは思う。
例えば1年にネイビーの生地が100種類出るとして30年だと3000という分母になる、その中で良いものは古い生地でも買う意味がある、もしくは現行バンチの中にも非常に良い生地が1つや2つはある、それが30年後にヴィンテージとして意味がある、ただの昔の生地には何の意味もない。テーブルクロスはおろか雑巾にも使えない。

ま、普段自分が自然と手に取るものに似ている生地、オーソドックスで定番マスターピース的な生地が良いと思う。

勿論価値観や好みなんかは人それぞれだし、他人は人の服装なんて大して気にしてないから好きな生地を選べば良い。
上記にも書いたが、身嗜みや装いとはある種相手や周囲への配慮であり、環境や立場と調和させるべきであり、日常では良くも悪くも人目を引くような服装はすべきでは無いと思う。
やはり友人がせっかく仕立てるのだから失敗というか後悔はして欲しくないし着倒さないものを作っても仕方ないと思うので僕なりに説明したり、彼の着る姿を想定して出来る限り選んでみた。勿論具体例を出して良いと言った生地は実際僕自身も仕立てた事やストックもあるので品評も伝えた。
多分その友人が実際行ったのにも関わらず僕に相談してきた理由は、テーラーや店の人が逆の立場に立ち本当に良いと思って勧めてくれていなそうだと感じたからなんじゃないかと思う。

勿論彼の言うように今の時代、服なんぞの為に自ら手探りで失敗や経験値を積み造詣を深めたり審美眼を養うとかいう事は不合理に無駄な回り道で、そのリソースがあれば更なる仕事でも考えた方が良いし習うより良いものを与えられ慣れた方が早いし確かで損がないというのも分からない話ではない。彼らしい価値観だ。


今年の5月日本に帰国した際に、文中の日本のテーラーや海外サルトリアのトランクショーで良く作る友人邸で宅飲みした際に色々見せて貰い、僕なりにこれは良いこれはゴミや色々感じた事もあるので今度それも書いてみようかと。

日本でオーダースーツを仕立てるならどこがいいか 4 前

書いていたら長くなったので前後に分ける事に。

先日日本でオーダーするならどこが良いかと相談された友人との後日談だが、その電話が来た1ヵ月位後に今度はどの生地で作ったら良いかと相談が来た。また朝一。。。
それこそ作る所にそれなりにバンチや持ち生地があるだろうから、相談して決めるか自分の1番良く着るものや気に入ってるものと似たものを選んで差替えれば良いとか自分だったらこういう感じで選んでるとか一頻り伝えたが、色々と話を聞くと実際何ヵ所か見に行ったようだがどうもバンチ状態だと仕上りのイメージが沸かないらしい、そして薦められる生地もピンと来ないらしい。
だから僕が選んでバンチ名と品番と画像を幾つか送れと。。。
納得しないまま流されて作るよりはマシか。

取り合えずビジネス用スーツとネイビーのジャケット、それぞれを春夏/秋冬、それに対して幾つか生地を選んでくれと。2生地ずつ選んでも8生地も選ばなければならない、適当に選んでそれで本当に作りに行って後悔されても嫌だから真面目に選んだが。

何と世話の焼ける友人だ。生地の好みなんてどこで仕立てるかと薦めるよりも面倒だ、最終的には仲の良いサルトリア3つへ見に行ったのだけど。

彼が幾つか行った所の話を総合するとイタリア生地より英国調のホーランド&シェリー(Holland & Sherry)、ドーメル(DORMEUIL)、スキャバル(SCABAL)、そこの持ちヴィンテージ生地がオススメで、秋冬ジャケット生地はロロピアーナのカシミアなどを薦められたようだ。

服も靴も車も時計も所詮はものだし、特に服や靴なんて消耗品だからそんなに拘る必要もないとは思う、靴マニアというかオタクと同じで生地オタクは一様にダサい人が多いと思う。

確かに僕も生地は買う。サルトリアしか来ないような生地屋やヨークシャーのハダースフィールドの倉庫なんかにも生地を買いに行った事もあり、生地ストックはコートまで含めると数えてないが100着以上はある。これは最高だとかドンピシャだと思った生地は何着分も買ったりする事もある。ヴィンテージや古い生地もあるが普通にバンチから気に入った生地があれば買ったりしている、同じ色目や用途なら良いものが見付かれば入れ替えたりもしている。

僕は普段フィーリングでそこまで深い事気にして選んだ事がないし生地こそ趣味の話だから良く分からない。微妙な色合や素材・生地感とかビジュアル的な事なんて数mも離れたら分からんだろうし、質の良し悪しもそういう所に置いてあるものなら余程変なものや特殊なものを選ばなければ長く愛用出来るんじゃないかと思うし、良くないものを選ぼうとすれば当然止めてくれるだろう。
勿論TPO、ビジネス、夜遊び用、普段着なのかとか、生活スタイル、体格、髪の色や有無、瞳や肌の色、国や気候、陽の色、職種や環境や立場、好きな様式や調が英国やイタリアなのかとかでも仕立て屋だけでなくそぐう生地や色味も変わるだろう。
身嗜みや装いとはある種相手や周囲への配慮であり、日常では良くも悪くも人目を引くような服装はすべきでは無いと思う。会社や外にファッションショーしに行く訳ではないだろうし、そんなの成田コレクションに両腕時計や踏みそうに長い襟巻付け痴態晒す人達と同じスタンスじゃないか。そういう類の人達の物足りなさからくるであろう一足しは大体マイナスに作用する。

生地の良し悪しはそれぞれのポジションやに生活レベルやスタイルによっても違うのだろう。
例えばSuper200'sやスパンカシミアやビキューナの生地であったとしてもお金持ちで運動量も少なく服も多数あり1シーズン数時間1,2回しか着ない人なら、それは羽の様に軽く柔らかく滑らかで最高の着心地で10年後も大した劣化や型崩れもせず良い生地だと言うのかも知れないし、逆にサラリーマンで週1回1シーズン20回も着る人ならそれは最悪の生地、織りにもよるがSuper130'sでも悪い生地なのかも知れない、Super100'sが良い生地なのかも知れない。
価格を盛りたいショップ側からすると盛りやすい高番手生地にカシミア混などが良い生地と言われるかも知れない。余談だが1シーズン何m売らなければならないとノルマのあるメーカーの生地や繋がりで格安で仕入れられて定価で売れるものなんかも良い生地だと薦められる事があると思う。
そう言えば友人で日本のテーラーや海外サルトリアのトランクショーで良く作る(20ヵ所近く)人が居るのだけど、生地代を聞いたら現行もかなり盛ってあったりヴィンテージまで古くない持ち生地も通常の倍近く盛られていた所も幾つかあったな。
新宿伊勢丹に置いてあるヴィンテージのトニックやタイタンも尋常ではない額だな。

サルトなど作る側からすれば耐久性があり型崩れせず仕立て栄えする目附400gで目が詰まり打ち込みのしっかりしているものが良い生地なのかも知れない、故に自己満足的にそれが好きなサルトも多いが、好みでなかったり合わないのならそれに付き合う必要はない。
上物のサルトとパンタロナイオでも好む生地は違う。サルトリアによっても軽い高番手や目付のある生地が得意不得意などある、先日書いたアロイジオなどはSuper180'sなどの高番手でもその意匠や魅力を損なう事無く仕立てる技術がある。

実際ナポリ~ローマ辺りのサルトリアでオーダーされている服を見ると軽めの合物~合物程度で作られている服が多い、冬物のツイディーなものはたまにある、ミラノなど北イタリアの方へ行けば400g/m位や重めの英国調生地で作られている服も多い。

それに単純に目付なども体格によって対比というものがあると思う、例えば165㎝痩せと185㎝ガッチリでは同じ目付300g/mで仕立てても見た目も着用感も違う、4月春合物なら165㎝痩せには230g/m、185㎝ガッチリには280g/mが丁度良く同じ感覚なのかも知れない、1月冬コートなら530g/mと600g/mなのかも。
なので、生地先行で考えるよりまずは着用イメージや着たいシーンにおいて自分の体格に合うか合わないかなども考慮した方が良い。
もしその生地で作った人や写真を見て自分もそのように格好よく着る事がイメージにあったとしてもかけ離れた体系なら答えは違うだろうから止めた方が良い。極論似合ってないアニメキャラコスプレーヤーと同じだろう。
日本で割と小柄な知人がヴィンテージの500g/m近い生地で仕立てた服を着ているのを見た事あるが酷い有様だった、ジャケットは全体的にボテボテとしていてラベルやポケットやフロントが分厚くなり全てが鈍く野暮ったくなり、パンツは生地の特性上必要以上に太くせざる得ずしかもタック部分も分厚くなり、せっかく名サルトリアで仕立てたのにそこの良さは見る影もなかった、仕立て栄えがって。。。どこがと思った。
まあそのとき正直な感想を伝えたおかげか、彼も最近は目付ではなく着たいシーンに合わせて生地を選ぶようになったが。

しかしこういうヴィンテージ生地オタクは誰がどう考えても拗らせてるとしか思えない。そんなのサルト本人達だって着てないって事は本当に良いとは思ってないって事だろう、限度やバランスってものがある。あとそういう拗らせてる人は最早そこで作る意味ないだろうって感じに仕様や数値的な指定が多い傾向もあるな。実際聞くと取材的な事や客が持ってきてこの生地はどうだと聞かれれば仕立て映えがして良い生地だと形式的に答えるサルトもいるし、余程変な生地でなければ何でも良い生地だと言う。

生地の良し悪しの1つに原毛の質と量がある、着分に良質の原毛を大量に使っているという事。目付が同じでも紡績や織によって厚さは違うし、逆に同じ厚さでも目付が違う。Super150'sを使っていても低速織機で織られていてきちんと目が詰まっていて目付や強度やハリコシもあり仕立て栄えのするものあれば、ペラペラで耐久性もなく長持ちしないゴミもある。

目安としての目付やSuperは良いが、やはり実際にバンチや反の生地を折ったりギュッと強く握ったり引っ張ってみたりして生地の復元率や耐久性なども触ってみて確かめた方が良い、皺にならずに膝や肘などの支点の抜けや伸びが無い生地の方が良いと思う。

僕は生地の質感・素材・季節感・色柄・仕上の他にハリコシがあり仕立て栄えし、耐久性や動き易さなどのバランスが取れてるものを選ぶ事が多い。合物なんかも多いが、秋冬は重めの生地が多い、と言っても300g/m後半位までだけど。耐久性に関しては春夏秋冬4シーズン各3カ月間週1で着たとして12回、20年240回着れるであろう劣化や型崩れや摩耗など余り無さそうなものを選ぶ。

例えばバンチならイタリアや英国のサルトリアやテーラーに置いてある数より、日本のセレクトショップやテーラーに置いてあるもの方が多種多様で多い。持ち生地の反などだとフォルモーサの様に何千とある所もあるしサルトリアに置いある生地なんて耳無しやどこの生地か分からないものも多い、だが良い生地が多い。日本人はそのもの自体を自分の感覚やセンスで選ぶって人よりも前提情報を踏まえた上で選ぶ人、でないと選べない人やそう言われると選んでしまう人が多いのだろう。
しかし沢山のバンチの中から選ぶのは大変だと思う、例えばネイビーの合物生地を選ぼうとしたら何十の中から選ばなければならない、だから僕の友人もどれが良いのか訳が分からなくなってるのだと思う。
沢山のバンチや生地の中からそのテーラーやショップが、例えばネイビーの合物ならコレ、グレーのフランネルならコレが良いなどとブランド関係なくバンチから半分切って台紙にでも貼りオススメバンチなんか作ってくれれば良いのにとも思う、着道楽の人や服に重きを置いている人は生地を選ぶは楽しいのだろうけど、特に生地なんぞアレやコレやと悩みたくない人も居るだろう。

取り合えずスーツならユーロテックス(EUROTEX)、葛利毛織、テーラー & ロッヂ(Taylor & Lodge)、Hレッサー&サンズ(H.lesser&Sons)、ハリソンズ(HARRISONS of EDINBURGH)、フィンテックス(Fintex of London)、ジョン クーパー(JOHN COOPER)辺りから実際見て好きなの選べばと伝えた。
ナポリのサルトリアでユーロテックスとハリソンズを置いていないところはないだろう、定番中の定番だ。

Gaetano Aloisio ガエターノ アロイジオについて

今日は数年前に仕立てたアロイジオの夏用のジャケットを着ていたので書こうかと。

ガエターノ アロイジオ(Gaetano Aloisio)はローマ テルミニ駅からタクシーで10分位のところにあるサルトリアで、僕は非常に好きで昔から何度も仕立てて貰った事がある。
ローマという地域性を体現したような都会的な男の色気や華やかなエレガントさがあり、端正で裏や内部の隅々まで隙のない丁寧な作りが服の表に良く表れている、神は細部に宿るとは良く言ったものだ。エグゼクティブやエリートが好みそうな装いの格があり、どんなシーン、ビジネスにもパーティーにも合う全方位型の服だ。吊るしてあるとかなりタイトというかコンパクトに見える、俗に言う攻めたフィッテングだが実際着ると全く窮屈さはなく体に吸い付くようにフィットし軽い着心地、高度な職人技の集大成での機能美、構築的でめりはりがありその人の魅力を最大限に引き出してくれるように設計されている、非常に知性た理論性を感じる服だ。内側の特徴的なシガーポケットも非常に良いし、斜めのスラントポケットも程良い程度で着てみると嫌味もなく良い塩梅だ。

アロイジオは10代半ばからミラノのサルトリア ボロネーゼやローマのサルトリア ロッツィで修行を積んだりパリにもショールームもある事から非常に洗練され上品な感性を持つ紳士、話すと言葉遣いにも落ち着きや知性を感じる。彼は服や装いを楽しむ事や着る人の魅力を最大限に引き出す提案をしてくれる。彼はサルトリアとしては珍しく布で型紙を作成し保管してくれるので複数オーダーした際や次のオーダーの際にブレがなくとても楽だ。工房はそれぞれの分野の高度な技術を持ったプロ集団の集まりで、作りは細部に至るまで徹底している他に無い独自の仕立てだ。縫い方や処理も一番面倒で手間の掛かる仕方をしていて、彼に聞くとそれが一番作用や効果が高い縫い方だからそうするべきなのだと言う。この辺りは先日他界したティンダロ デ ルカなども同じだな。シャツやネクタイなどもある。

彼はフォルビチ ドーロ賞(金の鋏賞)を史上最年少の若干22歳で受賞した、20代で受賞する事はそんなに珍しい事ではないが若き頃から天才肌だったのが良く分かるし、その他にも国際的な受賞を多数している。フォルビチドーロは割と形骸化している部分もあるが若手サルトの腕試しとしては良い目安なのだろう、受賞者を何人か知っているが確かに腕は良い。
確か日本でも昔UAソブリンハウス、ラフィネリア、信濃屋で扱いがあったと思う、濃度も客も分散して長持ちしないのは分かってるだろうにいつもながらこの辺のスタンスは呆れる、1ヵ所だけにすれば良いのに。。。

初めて彼に会ったのはまだ彼が30代の頃、今の僕よりの若かったな。正に新進気鋭の若手サルトと言った感じだった、まだ日本に入ってくる前でイタリアの親類に紹介されて一緒に行ったのが初めてだった。
そう言えばここ何年かは行くサルトリアが決まってしまっていて、こういった若いサルト、新しいサルトの所へは行ってないのだが最近また行こうかと思ってる、やはり若い世代や新しい価値への探求などは非常に大事な事だし、そういった中に10年後20年後マエストロと呼ばれる名サルトが生まれるかも知れない。正直今良く通ってる幾つかのサルトリアもマエストロが亡くなり上手く継承ができず質が落ちれば行かなくなるかも知れない、偉大なら偉大なほどそうなるのだろう。そんな事は料理屋なんかでも同じだろうしね。

しかし今の時代、サルトを目指す若者も減りつつある、どちらかというと工場ブランドへ働きに行くから情熱にある若いサルトに出会う事も少ないだろうし成長する機会も少ないかと思う。需要も減れば当然供給も減る、仕立て服が好きな僕にとっては寂しい限りではあるが仕方の無い事なのだろう。
そしてまた大きな不景気が来れば更にそれは加速されるだろう、世界各地ではその火種となる危機は常にある。

イタリアというかEUの問題と言えばやはり主要国のEU離脱、移民問題、そしてドイツ銀行問題だろう。
ドイツ銀行問題は非常に厄介だ、正にツァーリボンバだ。
世界為替シェアで20%を扱い、デリバティブは75兆ドル(8000兆円)以上でこれはドイツGDP4兆ドルの20年分、EUのGDPの5年分、全世界のGDPの1.2倍。日本の国家予算の80年分。ちなみにリーマンブラザーズの負債総額70兆円程度だから既に負債確定している270兆円ですら遥かに越えている。

そしてここ1年はヘッジファンドやファミリーオフィスなどによる各国の空売りが激しさを増す、その狙いの先はやはりドイツ銀行と中国、ここを切り崩して暴落させる事により莫大な利益が得られる、この空売りには最早日銀ですら勝てない、実際今年に入って何度も打ち負けている。
アメリカの株価や利上げにより債券はもう大して儲からないから、今は通貨空売りと合わせてそこの株の空売りをする。
暴落や崩壊が一番の利益とは何とも切ない世界だが、それが今の仕組みなのだから仕方のない事だし、かくゆう僕も昨年末から空売りばかりだから何も言えないのだろう。

例えばトルコは今年に入り一気にリラ安は加速し通貨危機状態、出資債務の60%以上20兆円はEUのスペイン・フランス・イタリアなどの経営的に危険な銀行が、経済的にも通貨的にも危険な国に金を貸している。当然通貨危機が勃発しデフォルトすれば不良債権になり、政治次第では更に暴落し、スペイン・イタリアの銀行が焦げ付き倒れればEUの経済危機に発展する。その先にあるのはそのCDSを一番持っているドイツ銀行、今や全世界の金融機関はデリバティブ、CDSで繋がっている、ドイツ銀行が破綻すれば日本アメリカの金融機関もCDSを大量に抱えてる所は同時に倒れる。勿論そこには大して預けてない。
トルコ、アラブ諸国、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ辺りの脆弱な国の先には最終的にドイツ銀行と中国がある、この2つが倒れれば未曽有の大恐慌になりそこに空売りを仕掛けていれば非常に儲かる、暴落用の商品やオプションも沢山ある。FRBの利上げによりこれらのリスクもスワップ金利も高い新興国通貨からアメリカへ資金が戻りつつあり、しかもこういった新興国はドル建てで借金をしているから借金は何もしなくても増える、そして更に空売りと暴落を加速させる。誰が描いた絵か貿易戦争が更に揺さぶりをかける、頃合いでオチか。TwitterやSNSや通知1発で笑いが止まらん人も多いだろう。羊飼いか。歴史は繰り返すのだろう。

勿論ドイツ銀行を救おうとEU諸国やドイツや中国は懸命に動いているが政治的に難しく上手く行っていない。これは金融のルールを変えないと救う事は出来ないのかも知れない。
アメリカからの制裁金やワーゲンの負債や胡麻化したCoCo債が大きな足枷にもなってるのだろう、例えば2009年のギリシャが経済危機になった時はドイツ銀行がギリシャのCDS50兆円分持っていたためEUが救った、ギリシャのGDPなんて日本の関東の1県と変わらないしEUの2%で規模的に見ればどうなろうが世界経済への影響なんて全くない、だがギリシャが破綻したらドイツ銀行が破綻する。ドミノ倒しになる。
しかしドイツ銀行の株価は落ち続け歯止めが効かない、コメルツの株価なんてゴミだ。FRBのストレステストも全方面クリア出来ない。

ドイツ銀行の危機はリーマンブラザースの危機が報告された同日に既にレポートされている。リーマンショック以降アメリカの銀行が倒産を防ぐ為に投資部門の規模を縮小し不良債権や資産を売ったが、それを負債整理をしないまま更に買い漁ったのがドイツ銀行、特に中国債権をどんどん買い増して行った。プライムブローカーや投資のプロ達がドイツ銀行から逃げたした後、2年前のドイツ銀行危機で株価暴落したが、その時出資し筆頭株主になった中国の海航集団も今や11兆の有利子負債を抱えて国有化の一歩手前だ。
高掴みしたものを投売りしなければならないし、CoCo債で胡麻化したから資本増強した場合更に株価が暴落する可能性がある。
メルケルが国が銀行を救うなどありえんとのたまい続けた結果救いづらい状況なのも足枷だ。このまま行けばEUのリーダーが消える、フランスさえEU離脱さえ考えているという。
ちなみにドイツでは2年前に来るべき危機や暴動に対して政府が配給対応出来るまでの家に少なくとも10日分の食料と水を常時備蓄するようにとの国家非常事態の為の通達が既にあった、勿論これは大規模なテロなどの事もあるのかも知れないが。

ま、実際ドイツ銀行が破綻したとしてどこまで実体経済に影響が出るか分からないし大鉈を期待して気にしてない人は気にしてないのだろう。

切り崩しの為に狙わている国の中にはイタリアなども入っている。ま、経済危機になったりEUが破綻したとしても昔のイタリアに戻るだけなのだろうか。しかしイタリアの主要産業はどれも観光を含めて嗜好品的なものばかりだから世界恐慌になれば今やアジアマーケットは大きな比率を占めているし縮小し人は離れて行くだろう。
これも寂しい事だが時代の流れなのかも知れない、何かが起こらずとも遅かれ早かれそうなる事なのだろうか。

その人が履いている靴は、その人の人格そのものを表すものである

良い靴を履きなさい、良い靴は履き主を良い場所へ連れていってくれる。そんな2つの言葉がイタリアにはある。
ま、んな事はないが、靴には内面が良く出るとは思う。
着道楽の類の人で靴をビスポークしない人は本質を分かってない人や、第一印象やお洒落や身嗜みは足元からと言うが、僕は別にそうは思わないし一定水準以上に整って全体の調和が取れていたりTPOにそぐえば、嗜好品なんて後は好きにすれば良いと思う。
ただ傷だらけやボロボロや汚れたりしている靴は、内面が露呈するし履かない方が良いんじゃないかとは思う。
 
しかしSNSなどで見掛ける靴好きや靴に全振りというか偏ってる人は気持ち悪いフェティシズムを感じるし、一様にダサい人が多いとは思う。
 
 
普段あれやこれやと仕立て服について書いてはいるが、靴もオーダーの方が良いと思ってる。
 
もともと靴にはかなりハマっていて、ベタだがジョン ロブ(John Lobb)やエドワード グリーン(EDWARD GREEN)を何足も買っていたが、20年位前にビスポークして以来はほぼビスポーク。でも海外との往来が多く持ってくるのも面倒なので日本用の靴や、靴は時間もかかるし気分で試したくなるものもあるのでたまに既製を買う事もある、勿論使い捨てにする訳ではない。
英国靴ならジョン ロブ(John Lobb)、フォスター & サン(FOSTER & SON)、ジョージ クレバリー(GEORGE CLEVERLEY)、ガジアーノ & ガーリング(GAZIANO GIRLING)など、、、
イタリア靴ならガット(GATTO)、ステファノ ベーメル(Stefano Bemer)などでビスポークした事がある。日本だと福田洋平のYohei Fukuda。ガットはガエターノ ヴァストラ(Gaetano Vastola)が、フォスター&サンはテリー ムーア(Terry Moore)が、ステファノベーメルは当人が居なくなってからは行ってない。
既製品はシルバノ ラッタンジ(Silvano Lattanzi)をバッセットウォーカー(BASSETT WALKER)やアリストクラティコ(ARISTOCRATICO)などで良く買っていた、あとはアンソニー クレバリー(Anthony Cleverley)、エンツォ ボナフェ(Enzo Bonafe)や普段ナポリの服を着ている事が多いのでナポリの靴も良いなと思いメッカリエロ(Meccariello)も試した事がある。個々の話は長くなるからまた今度にでも。
最後に買った既製靴はこのメッカリエロ、伊勢丹の地下の靴コーナーで確か6~7年位前だったか。今でも新宿伊勢丹の靴コーナーは帰国の度に良く行くがここは中々凄い、世界広しと言えども一挙にここまで多くの靴が見れるのはここくらいだろう。良くここで実物を色々見て次にビスポークする靴のインスピレーションを貰う、流石に買う気のないものは試着したりはしないが利用の仕方としてはちょっと申し訳無いとは思ってる、とにかく既製靴を買うならオススメの場所だ。
 
靴をビスポークする理由は好きな形を履き心地良く履けるからだと思う。特に海外生活だと室内も含めて靴を履いて過ごす時間が長いからストレスの無さや疲れないという事は非常に大事だし、僕は普段車移動が多いがイタリア、特にナポリなんて石畳で足場が悪いから歩き易さや足への負担の無さ、またタバコの灰を皆そこらに落とすから雨の日街中を歩いたりすれば跳ね返りで結構白い跡が着くから汚れの落ち易い素材、そういった実用性はとても重視している。
 
靴に関してはお任せより、写真やサンプルやそこの気に入ったモデルの既成靴から、微調整を加えてビスポークに落とし込んで貰う事が殆どだ。
得意不得意や製法技術があるから違うメーカーの既成靴や写真を持って行っても結局思った通りにはならない事が多いと思う。
履きなれた靴を履いて行くか持って行くのも癖などを見て貰う為に大事な事で、いつも2~3足持って行き見て貰う。
 
スーツやシャツや靴や鞄にしてもこのイメージの再現率が大事になる。
それと僕は初めからハーフラバーでオーダーする、呼吸がと言う人も居るのだろうけど雨の日に滑って怪我をしたくないし靴のせいでそんなに気を遣って歩きたくはない、いざという時ある程度の距離を走れるってのも大事な事だと思ってる。だから仮縫い中縫いなどでは様々な事を想定して結構動くし気になる事はなんでも言う。
この辺をきちんとしないとイメージの再現率や自分にピッタリ合う為の具現化が低くなる為、2~3足作って合わせて行かなければならないなんて惰性的な事になる勿論良ければ良いほどどんどん求めるものも出てくるから修正はするのだけど。
 
クロコやリザードなどや奇抜な靴は作った事がないし薦められた事もないし冗談で言うと嫌がられるな、1番型崩れし易いホールカットなんかも嫌がる所が多い。
 
話は変わるがスーツなどをオーダーをしに行く際にもたまにしか履かないような変なロングノーズの靴やスニーカーやサンダルを履いて行かない方が良い、極力普段履いている靴を履いて行く。全体のバランスや裾幅やパンツシルエットを算出する要素の1つとして靴のサイズというものがある。
 
 
正直言って僕はそれほど靴マニアではないし、つり込みがどうだとかトゥが2重だとかどうでも良いし、その結果として生まれたシルエットや履き心地や耐久性という最終的な仕上がりが大事だと思ってる。
だが昔日本で靴を買う時に履き心地やフィッテングより先に良くくだらない蘊蓄や講釈を垂れられた記憶がある、そう言うと客は買うのか、教えてくれるのは有難いのだけどそれより大事な事が沢山あるんじゃないかと思った。買ってもプレメンテやケアなんかの説明も大してなかった。
 
昨年友人の買い物に付き合った際もそうだった、しかもラストが足の形に合っていないものをかなりキツめのフィッテングで薦めてた。
高い靴を買う訳だから、まずは正確に測定して足の形や合うラストや捨て寸を把握させてあげれば良いのに。
 
既製靴は完成されたモデルが多くこの形が好きって人も多いと思うしかしこの好きなデザインやモデルやラストは服と同じで中々自分の足の形にピッタリ合うものはない。
人間の足は左右差もあり形も千差万別だが一般的には3種に分ける事が多い、厳密に言うと5種。
日本人ならエジプト型80%、ギリシャ型15%、ローマ型5%程度、欧米人はギリシャ型が1番多いので、ヨーロッパの靴はそもそもこの足の第2指が長いギリシャ型に合うようにデザインやラストが作られている事が多い。
エジプト型はオブリーク、ギリシャ型にはポインテッドやラウンド、ローマ型にはスクエアやチゼルのトゥが合うと言われている、実際履いて歩いてみれば問題ない人も居るのだろうけど。
 
僕の場合は多少ローマ型の要素もあるがギリシャ型で左右差も余りないので比較的どのラストでも合う。ただ合うと言っても僕は余り尖がった靴は好きじゃない。
 
良く日本人の足は幅広だから細身のラストの靴が合わないとか言うが違っていて、特に今の若者は寧ろ細身の人も多い。勿論幼少期からスポーツに打ち込んでたりするとそれに適した特殊な足の形にはなる。
これは足の形状によるポールジョイントの位置の違いである事が多くて、それを元の完成されたモデルやラストを崩す事無く履かせる為にEEなどの広いウィズやサイズ上げなどさせるなどして、そもそもエジプト型の形状の足と相性が悪く履けないラストの靴を売る為である場合が多い。だからタイトというかキツめのサイジングをして革を伸ばし馴染ませて履ける状態にしていくなどという事を思い込ませるアホな発想になる、何の罰ゲームか修行かと思う、確かに多少革も伸びるし沈みもあるが限度ってもんがある。
 
基本的に爪先立ちも出来ない靴や、爪先立ちして踵が抜けるような靴は買わない方が良い、どうせ数回履いて履かなくなる。
 
足は第2の心臓とも言われ、足裏には多くのツボが集まり、また足や歩行により足先まで来た血液を静脈から再度心臓に送る役割も担っている、外反母趾や偏平足だけではなく歩行や力の入り具合が不自然になる為膝や股関節や骨盤に負担がかかり歪みが生じ無駄な軟骨の消耗や腰痛の原因にもなる、靴はキツめも緩めも足には良くない、長い人生、健康の為にも無理した靴は履かない方が良い思う。
 
足の形が悪い人の履き心地だけを重視した足にピッタリのビスポーク靴は醜くブサイクに見えし、美しく見せるのには苦労する。
故に既製で良いって人も居るのだろう、確かに完成されたモデルの既製靴は美しいし素敵だ、だったらせめてしっかり試着しこのラストの場合は右は8Ðで左は7hEとか、後は重心や力の入り具合やヒールやフットベッドなど中敷き調整とかした方が良いと思う。もう随分既製靴を買ってないので左右違いで買えるのかパターンオーダーになるのかは分からないけど、今はシューズメーカーの㏋から直接問い合わせやDHLとか使い個人輸入できる時代だし、それで割安になるのならその分そういった買い方をして結果同じ位の額になったとしても良いかと思う。
でないと20万円のジョンロブやエドワードグリーンより2万円のリーガルの方が履きやすく足に良く、結果的にその人にとって良い靴になるのかも知れない。

 
女性向けの言葉でお洒落は我慢なんて言葉がある。
それはとても惨めで滑稽な事だと思う。
価値観は人それぞれだが特に男性がそんな事はすべきではない、と僕は思ってる。
 
確かに靴は当人にしか分からない事も含めて、その人を良く現している。

ジャパニーズウイスキーがまた気兼ねなく飲める日はいつになるのだろうか

供給量に限界のあるものなどの場合は流行れば品薄や値上がりや休売というのは当然なのだろうけど、昨今のジャパニーズウィスキーの人気はウィスキーを家で良く飲む僕にとっては痛手だ。同じように思ってる人も多いんじゃないかな。
サントリーの響、山崎、白州、知多、ニッカの余市、竹鶴、ベンチャーのイチローズモルトなどの長熟系などは非常に高騰している。

2008年からのサントリーのハイボール復活戦略や国内ドラマなんか影響で国内需要も高まったり円安による外国人の土産購入、人気による価格上昇を見越しての転売・投機なんかもある、何せ現市場価格は定価の3~4倍以上だ。
2001年の余市や2004年の響を皮切りに日本のウイスキーが世界的に認められ賞を取ったり、今やスコットランド・アイルランド・アメリカ・カナダ・日本と世界の名産地となり、人気になったりするのは日本人としては誇らしい事なのだろうけど。
イタリアの友人にジャパニーズウイスキーを出して日本のウィスキーは凄く美味いななどと言われると、とても嬉しくなる。
勿論80年代以降の国内消費の低迷による原酒生産量の調整も現在の不足の原因になっている、確かに現在は人気だが20年後30年後も人気があるとは限らないからおいそれ大量に仕込んでおく訳にも行かないのも分かる、消費者が嗜好品や酒から更に離れれば低迷期のように全く売れなくなるかも知れない。

2006年頃だったか、サントリーの白州蒸留所見学に行って以来、山崎蒸留所、ニッカの余市蒸留所や他幾つかの蒸留所に見学しに行った事もある。山崎は数年前にもまた行ったな。サントリーの蒸留所では山崎25年・白州25年・響30年、あとは株式の25%を所有し取扱のあるマッカランの25年なんかも確か2千円台でテイスティング出来てたし、お土産に蒸留所秘蔵や限定のウイスキーも買える。ウイスキー好きで時間のある方には是非オススメしたいな。
あとは日本酒やワインなんかも好きでイタリアやフランスのワイナリーも見学に行った事がある。
イチローズモルトの秩父蒸留所は行った事がないので機会があれば是非行ってみたいと思ってる。


最近は若者の酒離れなんて事もたまに耳にするが本当なのだろうか。
帰国した際は友人達と良く飲みに行くのだけど、若者も良く見掛けるので実感がない。東京だからなのだろうか、地方のその辺の事は余り良く分からない。
飲食業界からすると困るのだろうけど、別に酒なんて好きでもないなら無理して飲むものでもないし良いと思う。
酒を強要さる時代でなくなったのは良い事だと思う、それこそ僕が20代頭位までの飲みなんて同世代と飲むとバブル昭和臭というか体育会系臭が抜けないものも多かった、駆けつけ三杯や変なコール、クラブやサパーでショット連打やシャンパンラッパやアイスペールでちゃんぽん回し飲みとか今じゃ考えられないな、アホだと思う。時はベンチャーブームやITバブルだったし仕方ないか。


酒は百着の長、酒は万病の元
共に漢書に記された言葉だが都合良く適量なら体に良いと前者だけが広まったが、疾患や耐性や体質やJカーブ効果などはあるのだろうけど今では一般的には全く飲まない方が良いとされている。そのJカーブ効果上の適量はアルコール23g、日本酒1合=ビール瓶1本=ウィスキーダブル1杯=ワイン2杯位か。
今は極力中1日は空けその適量程度を目安に飲むようにしている、勿論付き合いや相手によっては量を越える時もあるのだけどそれはあんまり気にしてはいない。

家で飲む分は2014年末にサントリーがウィスキー値上や出荷調整を発表する随分前にその事を聞いていて沢山仕入られたので問題はないのだけど、暫くは日本のバーに行っても日本のウィスキーが飲めなくなるのは寂しいな。
確か響30山崎25白州25が10万→12.5万、一番家で飲むレンジの響21山崎18白州18が2万→2.5万だったかな。ついでにマッカラン、ラフロイグ、バルヴェニーなんかも値上げされていた。同じ事になると思いついでにニッカもその時買ったな。
ちょっと前までは渡航する際に自分の分やお土産と言えば空港でウィスキーを買っていたし、知人友人が来る際に何買っていくかと聞かれればウィスキーを買って来て貰っていた。が、それが今やストックをイタリアへ運ばなければならない。

響と言えば陶器シリーズ、それがウィスキーっぽくないとかは別として特に響35年の陶器は中々美しい。
初期有田 染付牡丹蝶図筒形瓶、古九谷写し 色絵牡丹蝶図筒形瓶、人間国宝の十四代酒井田柿右衛門作 濁手山つつじ文洋酒瓶、人間国宝の十三代今右衛門作 色絵薄墨草花文洋酒瓶、三代徳田八十吉作 耀彩瓶 碧陽、九谷焼花瓶 青華鳳凰宝相華など
いかに好きと言えどウィスキーは所詮お酒、飲み物と思っている僕もこればかり瓶だけでも欲しくなってしまう、流石に自分では買ってないのだけど2度飲ませて貰った事がある。
非常に柔らかく滑らかな極上の長熟感、とても美味しかった。
ま、プラシボー効果も相まって倍は美味しく感じだのだろう。

それよりもいつも思うが、こういったものを家で楽しむ感覚を持つお金持ちはなかなか凄いなと思う。。。
その背景から推し量れば僕が家で響30を飲むのと同じ感覚なのだろうか、何にせよありがたい、良いものを頂いた。飲み終わったら瓶は貰えるので更にありがたい。

しかしジャパニーズウイスキーの人気が出始めた2010年以降に原酒生産量を増やしたとしてそれが飲めるようになるのは大分先だな、12年ものでも2022年か、勿論不景気になったり人気がなくなれば様々な所から多少は市場に放出される分もあるのだろう。
人気がなくなって欲しいとは不謹慎な話だが、普通に飲めるたり買えたりするようになって欲しいと思う。
ま、お酒を飲まない人やあまり興味がない人にとっては、何言ってるんだって話なんだろうけどね。

踊る阿呆に見る阿呆

日本人は流行に流されやすい国民性だ、単一民族や遺伝子的に不安から同化を好むって事もあるのだろう、また教育制度も最大公約数へ画一的に押し込む事や常識や調和を養成する為に最大の教育コストを払ってきたからだろうし、初見で年齢を良く聞きき、同い年や近いと急に馴れ馴れしくなるのはその観念があるかだろう。流行に流されやすい国民性は既に戦国時代には外国人から指摘されてたから変わるものでもないのだろう。

ここまで男性の服装までコロコロ変わりやすいのも珍しいし、服装や化粧を見ればいつ頃かすぐ分かる。

別に流されやすいのが悪いと言っている訳ではない、寧ろ良い事にはどんどん乗った方が良いと思う。
日本では〇〇ブームというのを良く聞く、例えば10年位前からの筋トレブーム、最近は女性もしているようで喜ばしい、大多数がって訳ではないだろうがこれは非常に良い事だと思うし下火になってもその分母からの一定数は依存して残るだろう。SNSなんかもそのブームの促進の一因にもなっているのかな、確か10年位前から日本人でもYouTubeで筋トレレクチャーを上げてる人がいたな。

流行り分母が広がればその為の施設やそれに纏わる様々な事の質が上がったり容易になったりする。
例えばプロテイン、僕が筋トレを始めたのは中学生からだけど、その頃のプロテインはプレーンというかナチュラル味ばかりで、非常にマズくジュースや牛乳に混ぜてもその粉っぽさは消えず鼻を摘みえずきながら一気に流し込んでいた、あんまり覚えてないがKentaiだったかな。これが非常にキツかった。。ネット通販など無い時代だったので数ヵ月に1度アメリカへ仕事へ行く父が買って来てくれるOptimumやChampionを大事に飲んでいたな、初めて飲んだ時はその味の差に感動した。勿論食事からバランス良くタンパク質を取るのが一番大事な事だ。今は日本でもマイプロテインなんかでも割と味の良いものが安価で色々揃うだろう、プロテインは今もOptimumも愛用しているし、スポーツはしたりしなっかりする時期があるしもう増減量とかはしてないが、ワークアウトはできる限り週2回以上はずっと続けてる。

日本人、特に女性は痩せていると喜ぶ人が多いのだろうけどヨーロッパなどではそれは良いプロポーションって意味ではなく貧相ややつれてる的な意味で捉える人が多いし、実際友人の女性達は細くなりたい訳ではなくて健康的に引き締まったバランスの良い体、それが美だと思ってる人が多い。

体重より体型で考え、健康的で魅力的な身体を自然に形成維持できるようになるのは非常に良い事だと思うので、習慣付けの為にも高校の授業で週1回、大人になってからも継続可能なワークアウトや栄養学や解剖学的知識を教えた方が良いんじゃないかと思う、いきなりやっても間接傷めたり消耗したりするからやはり基礎知識やフォームやアフターケアは正確に学ぶべきだと思う。アメリカなんかにはある。
たまたま僕は父親の趣味で一室にトレーニング機材やサンドバックや参考本などがあったので簡単に始める事が出来たけど。

男女共に中学生みたいな体型のまま老人になるか、メタボになるか。間の大人の男らしいたくましい体型が自然に出来ないのは遺伝子的に仕方ないとしても、服装に10気を遣うのならその半分でも体型にも気を使った方が良いし、それも重要な身だしなみだと思う。

僕は痩せすぎもデブも同じ醜い体型だと思う。
過剰に太ってるってのは自己管理や我慢や抑制が効かない怠慢な自分を自己紹介して歩いてるのと同じだろうし、段階を踏んでその体型になってるのだから自分でもそれが世間でどういうイメージで捉えられてるか十分気付いてる筈だし、大半の人は太ってる事に嫌悪感を感じているのに流している精神性はどうかと思う。チャックが開いていたり靴が泥で汚れてたり鼻毛が出てたりすれば指摘されるか無言で嘲笑される、それと同じ事だと思う。痩せ過ぎだってその精神性を自己紹介して歩いてるのと同じだろう。食い過ぎるなよともっと飯食えよは同じだろう。

男性がビシッとしたスーツ着たり女性が化粧したりするのだって社会性の中で見た目をプラスにする為の補填や調整だろう、でも極端に太ってたり痩せたりしてるんだったらその前にやる事はあるんじゃないか。それを個性で済ませば良いのか。一定のラインってもんがあると思う。それをまずしないって事は他人からの印象を放棄したって事だし、その時点で社会人としては終了してる気がするな。
これは僕の主観だから価値観はそれぞれなんだろうけどね。
ま、人間誰しもが何か1つくらいは我慢できない事があるもんだ、それは趣味だったり、性欲や癖だったり、恋人の事だったり、承認欲求だったり、読書だったりする人も居るのかも知れない。
デブはそれが食べる事なんだろう。

ただ見た目以前に健康に気を使えないというか怠惰による健康不安のある女性とか怖くて一緒にいる気がしないな。

健康的な意味合いで考えれば、病気に罹りにくく長寿の傾向のある体型を目指すのが良いだろう。
日本人の最も死亡率・病気罹患率が低くなる健康的で長寿なBMIでは22~25、男性なら175㎝で67~76㎏位か、例えば体脂肪では20~25%なら週1~2回程度軽い運動やワークアウトしていれば十分だ、女性なら25~30%位か、体脂肪率を下げ過ぎるとBMI内だったとしても死亡率や罹患率が上がる、ビルダーとか少しの事ですぐ風邪を引いたりするし、体脂肪を落とし過ぎると体力もなくなる、ワークアウトをしてると簡単に体脂肪は落ちてしまうし、やってると楽しくなるので脂肪が落ちすぎないようにするのには意識が必要だ。
俗に言う美容体型のBMI20ではその数値はBMI32と同等となる、更にその先の曲線はBMIが低くなった方が高くなった方よりも急激に数値は上がる。175㎝なら60㎏と95㎏か、痩せすぎも太り過ぎも良くないって事なのだろう。ちなみに身長は低めの方が長生き。ま、こういった事はコロコロ変わるから参考までにって感じだろうな。


でも運動したりトレーニングしたりするのは僕は楽しいと思ってるし、ハマって過剰にやらなければ健康になるし男女共にこのままもっと日本でも浸透して根付いていって欲しいと思う。
何より女性が健康的で魅力的になるのは嬉しい、しっかり食べる女性との方が食事も楽しめるしね。
仕事が忙しい人とかは中々難しいのかも知れないけど、全くやった事がない人は家で自重からとか自重だけでも良いかと。ただSNSなどでひけらかしてる人は僕はあまり好きじゃないけど、それが原動力の一端ならそれも良いと思う。
仕立て服やその他と同じように好きな事や趣味に合理的な意味付けは不要だろうし、聞かれてもその辺りは楽しいからとか好きだからとかしか言えない、それで良いと思ってる。
これは、踊らにゃ損、な事じゃないかな。

Sartoria DALCUORE サルトリア ダルクオーレ 死す

サルトリア ダルクオーレが死んで13年の月日が経った。。。

僕が作った事があるのは20年位前と17年位前の2度、きっかけはナポリの友人がその数年前に仕立てたというスーツを見せて貰い素晴らしかったからだ。
特にシングル、独自のラペルから裾に掛けての鋭く流れるカットは非常に美しかった。
エレガントさはないものの、男らしさというか男臭さを醸し出す服、前衛さとクラシックさを確かな高い技術で柔らかく軽い仕立てだ。その雰囲気は軽めの合物生地で最大限に表現される、寧ろ重めの生地だとその雰囲気を殺してしまう。
ビジネスやフォーマルでは着れないが友人と夜飲みに行くときなんかに着ていたな。

ルイジ ダルクオーレは無骨で寡黙な男で黙々と朝から晩まで作り続ける職人で、あの鋭い眼差しはそのまま服のカットに出ていた。他国でも修行した彼の服はナポリにはない雰囲気でギリギリの絶妙なバランスで成り立つ服だった。
ダルクオーレの代名詞とも言うべきこの独自のシングルは、実はその昔ミラノの某サルトが引いたパターン、つまりダルクオーレのオリジナルパターンではない。それをずっと使い続けていた。だがそれをナポリの仕立て技術と軽快さにより更に独自の雰囲気を醸し出していたのは間違いないのだけど。

当時ダルクオーレは腕は良かったが、現地ナポリの人もたまに作る程度でそんなに有名なサルトリアではなかったし、寧ろ職人の給与もきちんと払えず職人が定着もしないし場所もコロコロ変えなければならない貧乏サルトリアだった。
13年前位の2004,5年頃だったか、脱税で摘発されて少し後、日本でナポリの巨匠、鬼才ダルクオーレなどと明らかなメディア戦略のキャッチフレーズを付けられ目に触れるようになった。確かラフィネリアだったか、日本で売り出されるようになった。脱税手入れ時に巻き添えで別件で絞られた若手日本人も居たな。

10年位前にまた作ろうと立ち寄り、ビスポークの上がりを見せて貰ったところ、持ち味の鮮やかで切れ味の良い仕立てが変わっていたというか明らかに鈍くなっていたので、疑問に思いスミズーラはしなかった。
その後日本やアジアでも人気が出たり既製品始めたり、オーダー会もビームスや三重のBREZZA(ブレッツァ)、MTMやRTWも伊勢丹、ビームス、バーニーズNY、ブライスランズ、ringやb.r.onlineやジオベルナルドなどで展開している。

だが、SNSやメディアに露出されている彼の服は僕には以前と全く違うものに見える。
昨年サルトリアを覗きに行った時に掛かっていた作成中の服を見て唖然としたし、震えたね。芯地はナイロン混紡でミシンで据付けられ、見える部分以外、内部の殆どはマシンで作られていた。しかも既製服じゃない、スミズーラの服だ。そりゃあのラペルの感じや着心地や柔らかさが出ない訳だ、あの鋭さは高いハンドの技術で丁寧に作られその絶妙なバランスの上に成り立つ妙技なのだろう。もしかしたら10年前に見た時に変わったと感じた違和感はこれだったのか、その時にはもう既に始まったいたのだろうか。
ナポリ海沿いの自社工房ではパンツだけが作成されており、上物は離れたアルツァーノの工房で作られている、来た客やメディア関係者なんかに見せない為か下職がコロコロ変わりながら作っているのだろう。これが自社工房とは。。
最早現地ナポリのオーダーなんて殆ど入らず、アジアの日本香港韓国からのオーダーの物しか無かった。
しまいには変なカーブしたポケットやハートの釦、RTWのラペルへの赤いマーキングはラルデーニのブートニエールと同じだ。こんなの恥ずかしくてどこにも着ていけないし成人した大人の着る服ではないし、SNSのアジア人が着ている服やブレッツァのブログに載ってる客の上がり品なんて本当にヤバすぎる。モード服と捉えればそれはそれで良いのだろうけど。

既製品もブライスランズ以外の日本に入ってるものと、ブライスランズや中国韓国香港などに入ってるものでは制作場所が違う。日本の伊勢丹やBEAMS、ringやb.r.shopに入ってるものは、完全外注でカサルヌオヴォ近くのサルトリアで作られているものだ。そこもフルハンドができる工房だが、少なくともダルクオーレのは違うし、数年前はまた違う外注先で作っていた。

しかし、、、
問題なのはそこではない。
問題なのは、ブライスランズを始め中韓に入ってるものはダルクオーレの工房で作っている自社工房の服だ。日本のトランクショーとかで受注しているビスポークも同じく自社工房で、ビスポークもMTMもRTWも工程は同じだ。そしてこれがヤバ過ぎる手抜き。工房で見える所以外マシンの服を見たと書いたが、これがそれだ。こんなスーツなら400ユーロ程度でどこでも作ってくれる。自社工房より外注の方がクオリティが高いとは何とも切なく情けない話だが、もしかしたら生産体制が整えば全て自社工房にしてこのゴミのようなスーツだけになるのかも知れない。
しかしそれが現在のダルクオーレの紛れもない事実だ。
数値的な事でこういった主観性の強い嗜好品を評価したりするのは好きではないが、例えばビスポークを比べてもパニコが100なら30、SならC程度の仕立てだろう、後は見た目の好みの差は人それぞれだからダルクオーレの方が好きって人も居るだろう、それはそれで良い事だと思う。
これでスーツが生地税込RTW35万円~、MTM40万円~、スミズーラ60万円~とか高すぎる、RTW12万円、スミズーラ30万円とかならまだ分かるんだけど、勿論こんな作りのものその額でも要らないけど。

娘クリスティーナはいいヤツだ。彼女はサルトリアの服が何たるか、仕立て、客が何を求めてるか何も分かってないだけだ。だから本当に良いと思って素敵だと思ってハート型の釦を付けちゃったりする。何年か前に来た娘婿のダミアーノは銭ゲバだしナポリでも評判が良くない、勿論元はただの魚屋だから何にも分かってないというのはナポリ中で有名な話。
ただの既製服ブランド、ダルクオーレへ生まれ変わったと言う事だろう、オラッツィオ ルチアーノなどと同じように見える部分だけハンド感を出し内部は全てマシン、それは時代の流れなのかも知れないし客が納得してるならそれで良いとは思う。

だが各メディアではフルハンドで卓越した技術のナポリ巨匠、鬼才などと未だに書かれている、この欺瞞、僕が思うのはこの点だ。
だから僕はダルクオーレをフルハンドだのサルトリアのナポリ仕立てと言っている店も業界人も雑誌もメディアも一切信用しない。Permanent StyleのsimonやBespoke DudeのFabio Attanasioなんかもどうせタダで作って貰って金貰ってるだけなんだろうと思う。こんなの昔からよくある手法で故・落合正勝も幾つかの所からそのような事をして貰っていた。勿論それを見て買っている人は詐欺にあってるだけだから仕方がないと思う、実際ナポリでは彼の事を詐欺師なんていう人も居る。

しかし、こう言った事はダルクオーレに限った事ではない。
ソリートの時にも少し書いたがこのように昔は良かったが今は良くなくなったサルトリア、昔は良くなかったが今は良くなったサルトリアなどは沢山ある。
実際現地ナポリ人からは殆どはオーダーが取れてないが、日本では最高の仕立てなどと持て囃されているサルトリアも幾つもある。それは単純にその日本のお店や代理店にそこがやってくれるから無理やり価値や蘊蓄付けしているだけだ。
例えば最近日本に入ってきたサルトリア アレッサンドロ グエッラ(Sartoria Alessandro Guerra)などもファッションエディターのYやネクタイのタグをペタペタ変えて売るのが得意な元TIE YOUR TIEのKさんが子飼のサルトリアが欲しくて押してるだけで、実際ナポリでは無名だし仕立ても大して良くないし、現地ナポリ人のオーダーなんて殆ど取れてはいない。
ブライスランズやグエッラについてはまた今度。
基本的に現地ナポリの服に気を遣う人はファット ア マーノ(fatto a mano)、フルハンドで仕立てが良い所でスミズーラしたものしか着ない、現地ナポリの人が作らなかったり評価しないサルトリアの何を持ってナポリ仕立てや良い仕立てなどとのたまうのだろうか。

昨年見たルイジにはあの日の鋭い眼差しはもうどこにも無かった、ただの動く躯のような雰囲気だった。そしてそれはそのまま彼の服に現れていた。
魂を売ったマエストロ、いや、今はダミアーノのただの傀儡なのか、それは可愛い娘の将来を憂いての事なのか。
何にせよ、今はイタリア人は誰も作らないただのナポリにあるってだけの凡庸なスーツ工場だ。

R.I.P. Sartoria Luigi Dalcuore