Passaggio Cravatteというネクタイ

パッサージョクラバッテというネクタイを2本持っている。

どちらも去年の初め頃に、インスタグラムで見て直接オーダーしたものだ。

ブランドのオーナーはジャンニチェルッティという男。カラフルなメガネをしていて、いつも派手な着こなしをしてるをけっこう悪趣味な男だ。

このパッサージョクラバッテというブランドの売りは当初から、ビンテージ生地だ。

派手な色彩はビンテージならではで今では見つからないような生地で、ネクタイをビスポークしてくれるというわけだった。

パッサージョクラバッテの公式インスタグラムで見てたしかに生地もビンテージっぽくてかっこいいし、作りも良さそうなので2本注文してみた。

ネイビーにけっこう派手なペイズリーが入った生地と、若草色に赤と水色の小紋柄がプリントされた生地。

だが届くまでにけっこうなすったもんだがあった。

まず金を支払うまでは親切。すぐに返事もくれるしパッサージョクラバッテの公式インスタグラムで問題なくコミニケーションが取れた。

だけど金を支払うと豹変して一切連絡がなくなる。

2ヶ月か3ヶ月して、僕はもう一度連絡を取ってみたけど、一向に返事がない。

半年くらい経ってから、連絡があってネクタイが発送される。しかし届いたネクタイの色が違う。

これ以上待つのもめんどくさいし、ということでそのまま受け取ったというわけだ。

パッサージョクラバッテのジャンニ・チェルッティという男はこういうことで有名らしくて海外の掲示板でもけっこう叩かれている。

 

それで実際に生地を見て思ったが、僕はこれはビンテージ生地ではないと思う。

おそらくシルクであることは間違いなさそうだけどビンテージではない。

まず第一にパッサージョクラバッテのインスタグラムを冷静に見て見ると

「Bespoke Vintage Ties」

とは毎回書いているけど。

一度も

「Vintage Silk」

とか

「Vintage Fabric」

などとは書いていない。つまりビンテージなビスポークネクタイだという意味では書いているけど、ビンテージのシルクとは書いていないのだ。

ここまで統一してビンテージシルクという表記がないと、これはわざとやっているとしか思えない。

次にきになるのはパッサージョクラバッテに使われているこのシルク生地の質感だ。

これは明らかに昔のマシンで織ったシルクの感じではない。

パッサージョクラバッテの生地はパリパリしすぎててポリエステルっぽいし、イタリアのマーケットで売ってる古着のネクタイのシルクとかと比べるとやっぱり風合いとかが違う。

ビンテージのシルクはもっと色合いがくすんでいるものが普通だし、手触りももう少し柔らかい。

しかもきわめつけは買った2本も、去年新宿伊勢丹で見たプレタポルテのネクタイも全部シルクの質感が同じなのだ。

パッサージョクラバッテに使われているのがビンテージの生地だったら生地が作られてから経っている年月も違うのが普通。

保管状態もまちまちのはずじゃないか?

ネクタイによって色の雰囲気とか手触りとかがガラっと変わっているはずだと思う。

それなのにパッサージョクラバッテのインスタで見るものも全部生地感が似たものばかり。

色柄は違うが全部同じ工房で織られているんじゃないかというぐらいに、パッサージョクラバッテのネクタイは全部質感が似ている。

ビンテージのシルク生地がここまで安定して供給できているのも普通に考えておかしいんじゃ?

数が限られているビンテージのシルク生地使ってパッサージョクラバッテのプレタポルテのネクタイが15000円っていうのも、不自然な話じゃないのだろうか。

別に騙されたとかいうつもりもないし、パッサージョクラバッテにネクタイの金を返せとかいう気はない。

でも普通に考えておかしいパッサージオクラバッテのネクタイがこれだけはやっているのは、ちょっと間違っているんじゃないかと僕は思う。

これを普通に仕入れてビンテージとして伊勢丹みたいな大御所が売るのは大丈夫なのだろうか?

パッサージオクラバッテの2本のネクタイはもうしていないが、見るたびにそういうことを思う。

ブリオーニの本店で買ったスーツの話

僕はナポリ仕立てを愛してやまない。あまりハイブランドのようなものには興味はない。

だけどローマのブリオーニに関しては、いいブランドだといつも思ってきた。

僕がローマのブリオーニ本店で買ったスーツは、今でもよく着るスーツだ。

ネイビーの光沢がある生地に1cm幅で白とブルーのオルタネートストライプが入っていて、正直買ったときは後でちょっとやってしまったと思った。だけど来ているうちにこれが気に入ってきて、このスーツばかり着ている時期もあった。

ブリオーニの良さはやっぱり肩の収まりだと思う。

けっこう作られた立体感で、いわゆる構築された肩なのに、着ているとそれを感じないくらい軽い。

この感じはブリオーニにしかないんじゃないか。

もちろん僕が持っているナポリ仕立てのスーツも、着心地は良い。ブリオーニはどっちかといえば、ジャケットの肩の部分に、人間の肩がすっぽり入る空間ができている感じだ。

これはナポリの吸い付くような感じとちょっと違う。

アットリーニとかキートンはちょっと近いかもしれないが、すくなくともアントニオ・パニコとか、ソリートとか、ピロッツイとかのとは異なっている。

とはいえこの角の立ったショルダーは、一面的にナポリ仕立てを見ている酔狂者というかナポリブランド信仰の連中には絶対に受け入れられないだろう。

ブリオーニのスーツはいくつかモデルがあって、やっぱり合うものと合わないものがある。

特に合わないのはコルトという短いもので僕のように身長があって痩せ型の男には似合わない。これはおっさん体形専用のモデルなのかと思うほど太くて短い。

僕に合うのはパラティーノというモデル。

ローマ本店で買ったスーツもこのモデルだ。

そういうわけでブリオーニは好きだが、最近のカジュアル化には耐えられない。

見るだけで気分が悪くなるようなものが多々置いてある。

あのダサくて古臭いロゴと、品のないアメリカ人を使ったイメージ戦略が終わっただけましだが、あれは一体なんだったのだろう。

デザイナーの自己満だったのだろうか。

一貫してあのクオリティを貫くサルトリアルブランドであってほしいと切に願っているものだ。

サファリという古着屋について

高円寺の何ともないような場所に、サファリという古着屋がある。

アメリカ古着のイメージが強い高円寺だけど、ここにサルト系のスーツとかジャケットがたくさん売られていることは、知っている人なら知っているだろう。

アットリーニやキートンやもっとマニアックな服が並んでいる。

最近は人気が出たらしく、この商品ラインアップで恵比寿にも店舗を出すらしい。

しかし元々高級品であるサルト系のスーツとかジャケットを、オフプライスで買うのってどうなんだろう。

特にスミズーラの服などは、オーダー者に合わせてぴったりと作っているのだから、これを別の人が着てぴったりになることはないはずだ。

もちろん体型が似ていることはあるだろう。

だけど、例えばの話。

サファリで買ったパニコのジャケットがぴったりだと思っていても、パニコで実際にその人がオーダーしたら、完璧に別のフィッティングで上がってくることってあると思う。

よく30代の悩めるファッションブログというブロガーが袖やカマがダボっとしたスーツをすごくいいといいながら着ているがそんな感じだ。

自分でパーフェクトだと思い込んでいるだけで、本当はそうじゃないかもしれない。

 

ちなみにあそこは昔あってもうなくなったランティコ・ガルダローバという店の在庫品を放出しているらしく、そのときに扱われていたアルヴェスティジャパン関係のブランドが大量入荷している。

ディペトリロとかアルフォンソシリカとか、そういうブランドだけど、パターンが悪いものが多い。

パンツは細すぎ。ジャケットはウエスト太くて着丈短いし、ゴージとかこってり強調しすぎ。

一番極端なスタイルだった頃の商品だから、しょうがないか。

だから店がなくなったのか?

どうかは僕は知らない。

話を戻すと別にサファリで服を買うのを悪いことだとは思わない。

目を肥やすためにはたくさん見て着るのが大事だと思うし、そのためにはあの価格で勉強するのも大事だと思うんだよね。

だけどサファリで買ったものをまるでオーダーしたかのように自慢する根性や、ずっとサファリで服を買い続けているのはわからない。

ああいうのをうまく使って目を肥やして、自分でオーダーできるようにならなきゃ成長しないと思う。

ナポリの冬はおしゃれ

去年の末はナポリでは大きな仕事もなかった。だから結局ミラノで仕事をさくっとすまして、その後は休暇として過ごした。

僕はミラノはミラノで好きなのだが、観光をしにきているスノッブな日本人を見るといたくなくなってしまうのだ。

そして結局ナポリで過ごした。

しかしナポリの冬はおしゃれだ。夏もおしゃれだけど、おじさんたちの冬の着こなしはかっこいい。

ジャケットとかスーツを、しっかりとネクタイで着こなしている。

日本の冬は本当にくらい色ばかりだ。それにみんなアウターの質が悪すぎる。冬こそ、アウターにこだわればいいのに。

ナポリは冬でも10度をきらないことが、多くて、別にそれほど寒くない。

だけど冬を逆に楽しもうとしているのか、しっかり季節ぽっさを出して着こなしている。

例えば薄めのツイードとか、モーレスキンとかだ。

あと冬はチェック柄を着たがる人が多いが、これはサヴィルロウへの憧れだろうか。

日本の冬はもっと寒い。

だから遊び心がなくなるのもわかる。だけどせっかくコートを仕立てるなら、むしろブラウンのチェックとか作ってもいいんじゃないかと思う。

どうせ中に着るスーツは紺無地の地味なスーツなんだから。

とはいえもう冬も終わりだ。

レディースはプレスプリングともいうべき、明るい色の秋冬ものに切り替わっている。

メンズだって、クリーム色とライトグレーのコートを着ていい季節がきていると思う。

結局靴を買うのは新宿伊勢丹になってしまう話

靴にはいつも悩まされる。

もともと靴にはかなりハマっていて、それこそエドワードグリーンやロブを何足も買っていたのがだ、

最近は値段が上がりすぎて、英国靴を買う気分にならなくなってしまった。

それからエンツォ・ボナフェなどを試していて、それなりに気に入っていたのだが、あるときナポリの靴に出会った。

それが伊勢丹の地下の靴コーナーだったわけだ。

メッカリエロという靴である。

 

もともと英国靴を履いていただけあり、最初はあのとんがったシルエットに違和感があった。

だけどナポリの服を着ているわけだし、いいだろうと思って買ったのが始まりだった。

だんだん目が慣れてからはむしろ細身の靴でないと合わないような気がし始めたから不思議だった。

それからナポリターノラケーレという靴を買った。

メッカリエロとナポリターノラケーレは兄弟ブランドのようなもの。

まあどちらもナポリで店に並んでいるような靴ではないのだが。

 

ナポリの靴ブランドは少ない。

カンパニーレなどレディースからサンダルまで売る町の靴屋みたいな店だし、フェランテは海近くの悪くないところに店があるけど、そんな有名というわけではない。

そもそもイタリア人はイタリアの靴にそれほど興味がないらしい。

それこそグリーンやロブを履いている人もいる。

 

だからナポリではあまり良い靴を買えない。行ってビスポークになるとやっぱり値段が張る。2000ユーロくらい、と聞いたことがある。

だとするとナポリの靴を買うのは伊勢丹だ。

結局そういうことで、伊勢丹で靴を買うことになってしまうのである。

 

しかし伊勢丹の靴コーナーは世界でもかなりセンスのいい品揃えだと思う。

服に関してはクラシックなものと、一過性のファッションブランドが混じっているけど、靴はいい。

関税とか考えたら、あの値段で売っているのはかなり頑張っているんじゃないかと思ったりする。

もっと伊勢丹みたいに、いろいろなブランドの靴を一挙に見られる店がたくさんあったらいいのだが。

 

 

 

イタリア人の友達に日本のセレクトショップを案内した結果

去年の12月中頃、イタリア人の友人が日本に来た。

彼はナポリである小さな生地店を営んでいる家の長男で、服については並ならぬこだわりを持っている。

しかも好奇心や向上心もある。イタリア服の一番強力な市場である日本のショップを見たい、ということもあって日本に来たのだった。

ちなみにヨドバシカメラで電化製品とかニコンのカメラのレンズとかも買っていたから、本当にその目的だけだったかは知らない。

僕と彼とはかれこれ3年半以上の知り合いになるだろう。

彼はナポリ市内にある店だけでなくてカゼルタにある倉庫まで見せてくれて、その恩返しもあって日本では案内を引き受けた。

 

そして私は彼が言うように、日本のイタリアファッションを扱うセレクトショップやデパートをいくつか案内した。

しかし彼は予想以上に退屈していて、あげく昼前には根っから疲れ切ってしまった。

結局午後からは僕の家でゆっくりしたり、近所を散歩するはめになった。

 

なぜあんなにも興味しんしんだったのに、すぐに飽きてしまったのか彼に聞いて見た。

答えは簡単で、

「どこも同じ雰囲気だし、オーナーじゃなくてスタッフしかいないし、売っているものがどこも同じだから」

ということだった。

彼は個人経営のような小さく密度の濃いセレクトショップが何件もあって、そのオーナーと知り合って彼らと話をできるのに期待していたようだった。

千差万別で個性の強いショップが見切れないほどあると思っていたらしい。

実際には店はだいたい同じ感じで、ちょっとシックな木のインテリアで見た目も似ていれば、売っているブランドもだいたい同じだという。

 

僕からすればショップ一つ一つは違う感じがしていたけど、確かに全くビームスとかユナイテッドアローズとか知らない外国人からしたら、全部同じに見えるかもしれない。

それに売っているブランドはだいたい同じだ。スティレラティーノとかディペトリロとか、タリアトーレとかが売っていて

「見たことないぞ」

というようなものは売っていない。

彼からすると、なぜこんなに似た店がたくさん必要なのかが不思議なようだった。

確かにナポリにはいろんなセレクトショップがあるが、同じブランドを扱っている店はそんなに多くないと思う。

それに良くも悪くももっと強烈で、接客がいい店もあれば、かなり難ありの親父がやってるところもある。

そのイタリア人の友人が少し足を止めたのは、むしろ百貨店の方だろうか。

話をしてみたいと彼は言ったが、残念ながらどのスタッフに話を聞けばいいか、私がわからなかった。

詳しい人もいたはずなのだが。

 

日本のショップは売れるものを仕入れている。

するとブランドもやはり似たりよったりになる。店構えなんかはカタログから選ぶものだろうから、そもそも似て当然だ。

スタッフはたくさんいるが、皆がイタリア大好きなわけではないだろう。

だけどこれだけイタリアファッションが流行っていながら、イタリア人を喜ばせるような店が見つけられなかったのは、ちょっとさみしく思う。

まあイタリアで日本人が感動する寿司屋を探すようなものなのだろうか。

だが、イタリアへの愛だけでスタートしたような店があれば、それだけで彼は喜んだのではないだろうか。

結局、イタリアが好きだからではなく、売れるからイタリアファッションを売っている、という感じが寂しかったのかもしれない。

 

今度は逆に日本の伝統のものを案内してあげよう。

日本でオーダースーツを仕立てるならどこがいいか

ときどき日本で服を仕立てたいと思うことがある。

実際には仕立てたことがないから語る資格はないのだろうが、写真や色々なものを見た感想をざっくりと書いていこうと思う。

コルウ 神戸

一番気になっているし、実際に店舗まで見に行ったことがあるのはコルウ。神戸にあるけど、最近は都内でオーダー会もやっているらしい。

ここのスーツはクラシックでやりすぎないスタイルだが、とても研究されていて、その背景にナポリ仕立てがあるのは明らか。

特に肩の周りを見ると、サルトリア・フォルモサやアントニオ・パニコを思わせる。

スタッフのセンスもいいし、オーダーしたくなるが、とりあえずは様子見で。

ただ結構いい値段のビスポーク?スミズーラ?よりも10万円代のパターンオーダーのものの方が雰囲気が好みだ。

ビスポークの方はもう少し日本の伝統的なテーラリングを感じるので、少し色気が足りない気がするのかもしれない。

サルトリアナオイ

青山のシャロンで扱っているオーダースーツで、よく30代の悩めるファッションブログというサラリーマンのブログに登場する。

このブログについてはいずれ書くつもりだが、とにかくサルトリアナオイ。

腕はいいのだが、ちょっと吹き出してしまうほどスタイルがやりすぎ。

というかこのシャロンで扱っているアルフォンソシリカというコテコテのブランドにわざと似せているんじゃないかと思う。

なんだか

「同じスタイルが安く作れますよ」

という感じが興ざめ。

ゴージが高すぎ、袖付けがこんもりしすぎ、ラペル太すぎ。

というか別にそれほど変なスタイルではないのだが、これは直井氏本人のような体格が良くて、男らしい人に似合うスタイルだと思う。

ブログ主のような縦長の体型の人が着ると滑稽になってしまうし、同じ理由から多分僕も似合わないと思う。

腕はいいから、スタイルが変われば試してみたい。

コッチネッラ 大阪

さりげなく気になっているのが、コッチネッラという店。大阪で遠いのでなかなか行く気になれないのだが、写真で見るからに素晴らしい。

アットリーニを感じさせる整ったステッチに袖付け、やりすぎないけど主張のあるカットなど色気を感じる。

僕はそれこそアルフォンソシリカのようなコテコテのスタイルよりも、どちらかというと往年のアットリーニのようなちょっと古臭い感じが好きだ。

なのでこのコッチネッラの仕立てはかなりタイプ。

値段も20万円くらいだから、それほど高すぎないと思う。実物が見て見たいのだが、コルウみたいに都内でオーダー会をやったりしないのだろうか。

まあ、やはり都内になんでもあると思うのは視野が狭いということだ。

ちなみにここはロベルトウゴリーニとスピーゴラのオーダーもやっているらしい。

 

あとはチッチョやサルトドメニカの人など、ナポリ帰りの職人もいるが、それだといつもナポリでオーダーしているから僕には特別必要ないかと思う。

逆に気になるのはミラノに住んでサルトをしている井上勇樹氏。カラチェニで修行した技術と、独特の丸みを帯びたスタイルが、特徴的。

あのスタイルは一度試してみたい。

 

とはいえ結局、作ったことがないのに長々と書いてもしようがない。

まず作るならコッチネッラだろうか。