イタリア人の友達に日本のセレクトショップを案内した結果

去年の12月中頃、イタリア人の友人が日本に来た。

彼はナポリである小さな生地店を営んでいる家の長男で、服については並ならぬこだわりを持っている。

しかも好奇心や向上心もある。イタリア服の一番強力な市場である日本のショップを見たい、ということもあって日本に来たのだった。

ちなみにヨドバシカメラで電化製品とかニコンのカメラのレンズとかも買っていたから、本当にその目的だけだったかは知らない。

僕と彼とはかれこれ3年半以上の知り合いになるだろう。

彼はナポリ市内にある店だけでなくてカゼルタにある倉庫まで見せてくれて、その恩返しもあって日本では案内を引き受けた。

 

そして私は彼が言うように、日本のイタリアファッションを扱うセレクトショップやデパートをいくつか案内した。

しかし彼は予想以上に退屈していて、あげく昼前には根っから疲れ切ってしまった。

結局午後からは僕の家でゆっくりしたり、近所を散歩するはめになった。

 

なぜあんなにも興味しんしんだったのに、すぐに飽きてしまったのか彼に聞いて見た。

答えは簡単で、

「どこも同じ雰囲気だし、オーナーじゃなくてスタッフしかいないし、売っているものがどこも同じだから」

ということだった。

彼は個人経営のような小さく密度の濃いセレクトショップが何件もあって、そのオーナーと知り合って彼らと話をできるのに期待していたようだった。

千差万別で個性の強いショップが見切れないほどあると思っていたらしい。

実際には店はだいたい同じ感じで、ちょっとシックな木のインテリアで見た目も似ていれば、売っているブランドもだいたい同じだという。

 

僕からすればショップ一つ一つは違う感じがしていたけど、確かに全くビームスとかユナイテッドアローズとか知らない外国人からしたら、全部同じに見えるかもしれない。

それに売っているブランドはだいたい同じだ。スティレラティーノとかディペトリロとか、タリアトーレとかが売っていて

「見たことないぞ」

というようなものは売っていない。

彼からすると、なぜこんなに似た店がたくさん必要なのかが不思議なようだった。

確かにナポリにはいろんなセレクトショップがあるが、同じブランドを扱っている店はそんなに多くないと思う。

それに良くも悪くももっと強烈で、接客がいい店もあれば、かなり難ありの親父がやってるところもある。

そのイタリア人の友人が少し足を止めたのは、むしろ百貨店の方だろうか。

話をしてみたいと彼は言ったが、残念ながらどのスタッフに話を聞けばいいか、私がわからなかった。

詳しい人もいたはずなのだが。

 

日本のショップは売れるものを仕入れている。

するとブランドもやはり似たりよったりになる。店構えなんかはカタログから選ぶものだろうから、そもそも似て当然だ。

スタッフはたくさんいるが、皆がイタリア大好きなわけではないだろう。

だけどこれだけイタリアファッションが流行っていながら、イタリア人を喜ばせるような店が見つけられなかったのは、ちょっとさみしく思う。

まあイタリアで日本人が感動する寿司屋を探すようなものなのだろうか。

だが、イタリアへの愛だけでスタートしたような店があれば、それだけで彼は喜んだのではないだろうか。

結局、イタリアが好きだからではなく、売れるからイタリアファッションを売っている、という感じが寂しかったのかもしれない。

 

今度は逆に日本の伝統のものを案内してあげよう。