ブリオーニの本店で買ったスーツの話

僕はナポリ仕立てを愛してやまない。あまりハイブランドのようなものには興味はない。

だけどローマのブリオーニに関しては、いいブランドだといつも思ってきた。

僕がローマのブリオーニ本店で買ったスーツは、今でもよく着るスーツだ。

ネイビーの光沢がある生地に1cm幅で白とブルーのオルタネートストライプが入っていて、正直買ったときは後でちょっとやってしまったと思った。だけど来ているうちにこれが気に入ってきて、このスーツばかり着ている時期もあった。

ブリオーニの良さはやっぱり肩の収まりだと思う。

けっこう作られた立体感で、いわゆる構築された肩なのに、着ているとそれを感じないくらい軽い。

この感じはブリオーニにしかないんじゃないか。

もちろん僕が持っているナポリ仕立てのスーツも、着心地は良い。ブリオーニはどっちかといえば、ジャケットの肩の部分に、人間の肩がすっぽり入る空間ができている感じだ。

これはナポリの吸い付くような感じとちょっと違う。

アットリーニとかキートンはちょっと近いかもしれないが、すくなくともアントニオ・パニコとか、ソリートとか、ピロッツイとかのとは異なっている。

とはいえこの角の立ったショルダーは、一面的にナポリ仕立てを見ている酔狂者というかナポリブランド信仰の連中には絶対に受け入れられないだろう。

ブリオーニのスーツはいくつかモデルがあって、やっぱり合うものと合わないものがある。

特に合わないのはコルトという短いもので僕のように身長があって痩せ型の男には似合わない。これはおっさん体形専用のモデルなのかと思うほど太くて短い。

僕に合うのはパラティーノというモデル。

ローマ本店で買ったスーツもこのモデルだ。

そういうわけでブリオーニは好きだが、最近のカジュアル化には耐えられない。

見るだけで気分が悪くなるようなものが多々置いてある。

あのダサくて古臭いロゴと、品のないアメリカ人を使ったイメージ戦略が終わっただけましだが、あれは一体なんだったのだろう。

デザイナーの自己満だったのだろうか。

一貫してあのクオリティを貫くサルトリアルブランドであってほしいと切に願っているものだ。