日本でオーダースーツを仕立てるならどこがいいか 2

ときどき日本で服を仕立てたいと思うことがあるが、普段イタリアで仕立ている僕からすると値段設定が高いところが多いのが悩みどころだ。

実際の最低額の想定として3万円の生地代に消費税を足してみると。。。
更に良い生地を選択すればこれ以上の金額になる。

上木規至のSartoria Ciccio(サルトリア チッチオ)
 66万円
山口信人のLA SCALA(ラ スカーラ)
 56万円
近藤卓也のVick Tailor(ヴィックテーラー)
 53万円
甲祐輔のSartoria Cavuto(サルトリア カブト)
 52万円
小野雄介のAnglofilo(アングロフィロ)
 52万円
小山毅のSartoria Yamacci(サルトリア ヤマッチ)
 49万円
水落卓宏のDittos(ディトーズ)
 47万円
直井茂明のSartoria Naoi(サルトリア ナオイ)
 47万円
東徳行のSartoria Raffaniello(サルトリア ラファニエッロ)
 47万円
久保田博のBLUE SHEARS(ブルーシアーズ)
 45万円
有田一成のTAILOR&CUTTER(テーラー&カッター)
 45万円
服部晋の金洋服店
 41万円
中野栄大の羊屋
 41万円
船橋幸彦のSARTORIA YPSILON(サルトリア イプシロン)
 41万円
根本修のLID TAILOR(リッドテーラー)
 39万円
中寺広吉のbatak(バタク)
 39万円
松熊良太のPinorso(ピノルソ)
 38万円
テーラー森脇
 37万円
壱番館洋服店
 36万円
鈴木一郎のイチロウスズキ
 35万円
江利角卓也のKIRINTAILORS(麒麟(きりん)
 35万円
佐藤英明のペコラ銀座
 34万円
加納康弘のCOL(コルウ)
 31万円
山本祐平のTailor Caid(テイラー ケイド)
 29万円
銀座 英國屋
 27万円
中條敬のCoccinella(コッチネッラ)
 26万円
高橋純の高橋洋服店
 25万円
五月女泰彦のArmonia del Sarto(アルモニア デル サルト)
 25万円

参考までに生地代1.5万でトラウザーズも
尾作隼人のPANTALONAIO Osaku Hayato
 13.5万円
五十嵐徹のIGARASHI TROUSERS(五十嵐トラウザーズ)
 9.8万円

日本でイタリアのサルトリアでスミズーラする場合は当然トランクショーになるだろう。
それには2回の仮縫いやその為の渡航費・場所代・宿泊飲食・通訳代・輸入関税など様々な経費が上乗せられるから高くなるのは分かる。
でも日本人が日本で作るなら当然そういった経費は無いはずだ。

しかしこう見るとある一定の層の日本人職人たちは、他国やイタリアのサルトリアなどが日本でトランクショーをした場合の金額から逆算して値段設定をしているようにしか思えない。
他にも見えてくる事もあるが。
スミズーラのスーツが生活の一部、文化として育たない訳が良く分かる。
ナポリの有名なサルトリアのパニコやチャルディやソリートやピロッツィだって多少の値段の上下はあるけどある一定の価格レンジの中に納まる。良いスーツを作るコストにここまでの価格差はない。
って事はその一定の日本人職人たちは実際の価値よりも大幅に盛っているって事になるな。
この欺瞞、何も分からない客や日本人として日本の仕立屋で作ってくれている良い客を騙して毟るような行為が業界を未熟なまま衰退させる。
勿論家賃が人件費がとか色々な言い訳があるだろうけど、それはただの努力不足で無駄な事ばかりして非生産的なんじゃないかと思う。こんな額で売れてるなら本当に日本人はちょろいな、売れてないから単価を高くしなければやっていけないのかな。それとも質なんて分からないで値段のダガでしかものの良し悪しを判断できないからある程度高くしないと売れないほどに客が馬鹿なのだろうか。

現地で生活していても大体1ユーロ=100円位の感覚で使う。
エスプレッソは1ユーロで飲めるし、昼食も5~6ユーロ、僕が日本に居る時も昼食なんて定食屋で600円位だから大して変わらない。勿論アマルフィの広場に面したバルみたいな観光客が行くような店なら、エスプレッソ座って飲んで2~3ユーロとかにはなるだろうけど、それは日本だって同じ事。
例えばチッチオがピロッツィと同じクオリティだったとすれば、ピロッツィが生地代税込68万円でスミズーラ出来るならそこからの諸経費を引いた38万円でオーダー出来るべきなんじゃないかと思う。ピロッツィだってナポリで6800ユーロで売っているわけではないはずだ。
チッチオとか作りがどうだとかの話はまた今度にして、スーツ仕立ててこの値段はちょっと暴利なのは確か。
日本人職人でビスポークするなら生地代税込でスーツ27万円、シャツ2万円、靴25万円位が妥当な金額なんじゃないの、と思う。2回目からパターンや木型から起こすなら当然もう少し安くなるだろうし許容範囲なんじゃないかな、これじゃ全然楽しく嗜めない。

上に書いた日本の仕立屋で僕はまだ実際に仕立てたことがないけど、実物を見た事のあるものや羽織らせて貰ったものも幾つかある、中には全く値段に釣り合わないものもある。
真面目にどこで作ろうか色々探しながら数字作ってたら、とりあえず萎えた。
文化に根付いていない感が強すぎて、半分どうでもよくなった。

とはいえ、テイラーケイド、コッチネッラ、コルウ辺りは試してみたいなと思う。作りや着心地は分からないけど価格的も健全だと感じる。写真や色々なものを見る限り魅力的に見えるので、機会があればどれか試してみようと思う。