その人が履いている靴は、その人の人格そのものを表すものである

良い靴を履きなさい、良い靴は履き主を良い場所へ連れていってくれる。そんな2つの言葉がイタリアにはある。
ま、んな事はないが、靴には内面が良く出るとは思う。
着道楽の類の人で靴をビスポークしない人は本質を分かってない人や、第一印象やお洒落や身嗜みは足元からと言うが、僕は別にそうは思わないし一定水準以上に整って全体の調和が取れていたりTPOにそぐえば、嗜好品なんて後は好きにすれば良いと思う。
ただ傷だらけやボロボロや汚れたりしている靴は、内面が露呈するし履かない方が良いんじゃないかとは思う。
 
しかしSNSなどで見掛ける靴好きや靴に全振りというか偏ってる人は気持ち悪いフェティシズムを感じるし、一様にダサい人が多いとは思う。
 
 
普段あれやこれやと仕立て服について書いてはいるが、靴もオーダーの方が良いと思ってる。
 
もともと靴にはかなりハマっていて、ベタだがジョン ロブ(John Lobb)やエドワード グリーン(EDWARD GREEN)を何足も買っていたが、20年位前にビスポークして以来はほぼビスポーク。でも海外との往来が多く持ってくるのも面倒なので日本用の靴や、靴は時間もかかるし気分で試したくなるものもあるのでたまに既製を買う事もある、勿論使い捨てにする訳ではない。
英国靴ならジョン ロブ(John Lobb)、フォスター & サン(FOSTER & SON)、ジョージ クレバリー(GEORGE CLEVERLEY)、ガジアーノ & ガーリング(GAZIANO GIRLING)など、、、
イタリア靴ならガット(GATTO)、ステファノ ベーメル(Stefano Bemer)などでビスポークした事がある。日本だと福田洋平のYohei Fukuda。ガットはガエターノ ヴァストラ(Gaetano Vastola)が、フォスター&サンはテリー ムーア(Terry Moore)が、ステファノベーメルは当人が居なくなってからは行ってない。
既製品はシルバノ ラッタンジ(Silvano Lattanzi)をバッセットウォーカー(BASSETT WALKER)やアリストクラティコ(ARISTOCRATICO)などで良く買っていた、あとはアンソニー クレバリー(Anthony Cleverley)、エンツォ ボナフェ(Enzo Bonafe)や普段ナポリの服を着ている事が多いのでナポリの靴も良いなと思いメッカリエロ(Meccariello)も試した事がある。個々の話は長くなるからまた今度にでも。
最後に買った既製靴はこのメッカリエロ、伊勢丹の地下の靴コーナーで確か6~7年位前だったか。今でも新宿伊勢丹の靴コーナーは帰国の度に良く行くがここは中々凄い、世界広しと言えども一挙にここまで多くの靴が見れるのはここくらいだろう。良くここで実物を色々見て次にビスポークする靴のインスピレーションを貰う、流石に買う気のないものは試着したりはしないが利用の仕方としてはちょっと申し訳無いとは思ってる、とにかく既製靴を買うならオススメの場所だ。
 
靴をビスポークする理由は好きな形を履き心地良く履けるからだと思う。特に海外生活だと室内も含めて靴を履いて過ごす時間が長いからストレスの無さや疲れないという事は非常に大事だし、僕は普段車移動が多いがイタリア、特にナポリなんて石畳で足場が悪いから歩き易さや足への負担の無さ、またタバコの灰を皆そこらに落とすから雨の日街中を歩いたりすれば跳ね返りで結構白い跡が着くから汚れの落ち易い素材、そういった実用性はとても重視している。
 
靴に関してはお任せより、写真やサンプルやそこの気に入ったモデルの既成靴から、微調整を加えてビスポークに落とし込んで貰う事が殆どだ。
得意不得意や製法技術があるから違うメーカーの既成靴や写真を持って行っても結局思った通りにはならない事が多いと思う。
履きなれた靴を履いて行くか持って行くのも癖などを見て貰う為に大事な事で、いつも2~3足持って行き見て貰う。
 
スーツやシャツや靴や鞄にしてもこのイメージの再現率が大事になる。
それと僕は初めからハーフラバーでオーダーする、呼吸がと言う人も居るのだろうけど雨の日に滑って怪我をしたくないし靴のせいでそんなに気を遣って歩きたくはない、いざという時ある程度の距離を走れるってのも大事な事だと思ってる。だから仮縫い中縫いなどでは様々な事を想定して結構動くし気になる事はなんでも言う。
この辺をきちんとしないとイメージの再現率や自分にピッタリ合う為の具現化が低くなる為、2~3足作って合わせて行かなければならないなんて惰性的な事になる勿論良ければ良いほどどんどん求めるものも出てくるから修正はするのだけど。
 
クロコやリザードなどや奇抜な靴は作った事がないし薦められた事もないし冗談で言うと嫌がられるな、1番型崩れし易いホールカットなんかも嫌がる所が多い。
 
話は変わるがスーツなどをオーダーをしに行く際にもたまにしか履かないような変なロングノーズの靴やスニーカーやサンダルを履いて行かない方が良い、極力普段履いている靴を履いて行く。全体のバランスや裾幅やパンツシルエットを算出する要素の1つとして靴のサイズというものがある。
 
 
正直言って僕はそれほど靴マニアではないし、つり込みがどうだとかトゥが2重だとかどうでも良いし、その結果として生まれたシルエットや履き心地や耐久性という最終的な仕上がりが大事だと思ってる。
だが昔日本で靴を買う時に履き心地やフィッテングより先に良くくだらない蘊蓄や講釈を垂れられた記憶がある、そう言うと客は買うのか、教えてくれるのは有難いのだけどそれより大事な事が沢山あるんじゃないかと思った。買ってもプレメンテやケアなんかの説明も大してなかった。
 
昨年友人の買い物に付き合った際もそうだった、しかもラストが足の形に合っていないものをかなりキツめのフィッテングで薦めてた。
高い靴を買う訳だから、まずは正確に測定して足の形や合うラストや捨て寸を把握させてあげれば良いのに。
 
既製靴は完成されたモデルが多くこの形が好きって人も多いと思うしかしこの好きなデザインやモデルやラストは服と同じで中々自分の足の形にピッタリ合うものはない。
人間の足は左右差もあり形も千差万別だが一般的には3種に分ける事が多い、厳密に言うと5種。
日本人ならエジプト型80%、ギリシャ型15%、ローマ型5%程度、欧米人はギリシャ型が1番多いので、ヨーロッパの靴はそもそもこの足の第2指が長いギリシャ型に合うようにデザインやラストが作られている事が多い。
エジプト型はオブリーク、ギリシャ型にはポインテッドやラウンド、ローマ型にはスクエアやチゼルのトゥが合うと言われている、実際履いて歩いてみれば問題ない人も居るのだろうけど。
 
僕の場合は多少ローマ型の要素もあるがギリシャ型で左右差も余りないので比較的どのラストでも合う。ただ合うと言っても僕は余り尖がった靴は好きじゃない。
 
良く日本人の足は幅広だから細身のラストの靴が合わないとか言うが違っていて、特に今の若者は寧ろ細身の人も多い。勿論幼少期からスポーツに打ち込んでたりするとそれに適した特殊な足の形にはなる。
これは足の形状によるポールジョイントの位置の違いである事が多くて、それを元の完成されたモデルやラストを崩す事無く履かせる為にEEなどの広いウィズやサイズ上げなどさせるなどして、そもそもエジプト型の形状の足と相性が悪く履けないラストの靴を売る為である場合が多い。だからタイトというかキツめのサイジングをして革を伸ばし馴染ませて履ける状態にしていくなどという事を思い込ませるアホな発想になる、何の罰ゲームか修行かと思う、確かに多少革も伸びるし沈みもあるが限度ってもんがある。
 
基本的に爪先立ちも出来ない靴や、爪先立ちして踵が抜けるような靴は買わない方が良い、どうせ数回履いて履かなくなる。
 
足は第2の心臓とも言われ、足裏には多くのツボが集まり、また足や歩行により足先まで来た血液を静脈から再度心臓に送る役割も担っている、外反母趾や偏平足だけではなく歩行や力の入り具合が不自然になる為膝や股関節や骨盤に負担がかかり歪みが生じ無駄な軟骨の消耗や腰痛の原因にもなる、靴はキツめも緩めも足には良くない、長い人生、健康の為にも無理した靴は履かない方が良い思う。
 
足の形が悪い人の履き心地だけを重視した足にピッタリのビスポーク靴は醜くブサイクに見えし、美しく見せるのには苦労する。
故に既製で良いって人も居るのだろう、確かに完成されたモデルの既製靴は美しいし素敵だ、だったらせめてしっかり試着しこのラストの場合は右は8Ðで左は7hEとか、後は重心や力の入り具合やヒールやフットベッドなど中敷き調整とかした方が良いと思う。もう随分既製靴を買ってないので左右違いで買えるのかパターンオーダーになるのかは分からないけど、今はシューズメーカーの㏋から直接問い合わせやDHLとか使い個人輸入できる時代だし、それで割安になるのならその分そういった買い方をして結果同じ位の額になったとしても良いかと思う。
でないと20万円のジョンロブやエドワードグリーンより2万円のリーガルの方が履きやすく足に良く、結果的にその人にとって良い靴になるのかも知れない。

 
女性向けの言葉でお洒落は我慢なんて言葉がある。
それはとても惨めで滑稽な事だと思う。
価値観は人それぞれだが特に男性がそんな事はすべきではない、と僕は思ってる。
 
確かに靴は当人にしか分からない事も含めて、その人を良く現している。