Sartoria Costantino サルトリア コスタンティーノについて

その昔Scarpino スカルピーノ時代に作った事がある、今は自身の名前を冠したコスタンティーノというブランドで展開している。
コスタンティーノの服は洗練されたクラッシクなエレガントさがある、肩や胸周りやウエストのシェイブなども非常に美しく構築的でカチっとキマる服だ。勿論綺麗で丁寧な処理でシーンも選ばず着れる。
若々しくエネルギッシュで力強い男性像やエレガンスを演出しするのに力を発揮してくれる服、彼自体もそうだ。

コスタンティーノ プンツォ(Costantino Punzo)はサルトではなくフィッター兼コーディネーター・プロデューサーで非常にクラッシックなナポリスタイルを好む、もう20年近く日本に来ているから日本人の体形や好みも熟知していて日本人が潜在的に好む提案を更にその人に合わせしてくれる、大学で数学を学んでいた事もあり利発だ。人柄も僕は非常に人懐っこく気さくなナポリ人といった感じで僕は好きだ、気遣いも細やかな紳士だ。
出張型のロンドンハウス(London House)と言った感じでトータルコーディネートも出来るから1ヵ所で済ませたい人にとっては非常に良いスタイルだ、実際ロンドンハウス出身だからそうなのだろうけど。
ジャケットやコートはフェリーチェ ヴィゾーネ(Felice Visone)、トラウザーズはモーラ(Mola)、シャツはルチアーノ ロンバルディ(Luciano Lombardi)、タイはフランチェスコ マリーノ(Francesco Marino)、革衣類はアルフレッド リフージオ(Alfredo Rifujio)が作成を担当し、靴はメルクーリオ(Mercurio)が一緒に来日している。それぞれも自身のブランドがあるから別に買う事は出来るのだけど、コスタンティーノのフィルターやセンスを通して日本人に合うように作成されるここでしか買えないものと言っても過言ではないのかも知れない、例えば同じ生地でモーラで作ってもコスタンティーノで作るものとはシルエットなど様々な事が違うのだろうし、ヴィゾーネでも同じ事だろう、特にジャケットやコートはヴィゾーネの服というよりはコスタンティーノの服といった感じだ。
ヴィゾーネはアントニオ パニコ(Antonio Panico)やマリオ フォルモサ(Mario Formosa)らと同じくロベルト コンバッテンテ(Roberto Combattente)に学び、その後は様々なサルトリアやロンドンハウスの下請け職人として腕を磨き、今はコスタンティーノに共感し専属なのだろう。
ヴィゾーネも中々腕の良い職人だがナポリでは無名なのだがそれはブランドとしてコスタンティーノの裏方に徹してるし性格的にそういった自己顕示欲もないからなのだろう、こういった腕の良い職人はまだ他にもいる、僕はそういった良い仕立てをする事に徹してる無骨な生粋の職人も好きだ、恣意的にメディアが押している職人に比べて余程腕が良い人が多い、まあその点は彼も否めないが。コスタンティーノはナポリでも聞けば名は出る、ま、それはもの良し悪しとは関係なく性格がちょっとね、、、と言った感じでだけどね。僕はとても好感が持てて気が合うしイイ男だと思う。
実際ナポリには500近くの仕立屋つまりサルトリアがあるが、きちんと看板を出してサルトリアとして営めている所は100位だ、それも近年どんどん減りつつある、北は殆ど近代化されて工場的な運営に変わってしまって来ている。

コスタンティーノはナポリの伝統やクラッシクなスタイルの思想的文化的な部分をも大切に思い提案するが故に好みが合わないというかピンと来ない人もいるかも知れない。
ナポリでもミラノでもローマでもロンドンでもどこでも良いが、その国や地域やそこの人々に根付き自然と連綿と繋がる伝統や文化の内に当然服飾なども含まれていて、その連続性と統一感がスタイルや〇〇調なのだから彼はナポリのそれを基調とした自分のセンスを提供しているのだろう。当然客もそれを求めてきていると思ってると思う。だが何でもそうだが日本では輸入した場合風俗化したり形骸化したりする事が多いし滑稽な独自な進化や使用法もする。MACの側だけ買ったりね。
日本では売る為に過剰にデフォルメされ作られたイメージやナポリ感的なものが、さもナポリであるかのように刷込まれている。彼からすればそれはそうじゃないんだよって事だとは思う、例えば彼に関わらず通常スーツならマニカカミーチャや目立つステッチワークは押してこない所が多い、クラッシクなナチュラルショルダーやコンケーブドショルダーが多い。これ見よがしに皺が入るようなハンド感の出ているスーツなんてワザとやっているか仕立てが下手なだけだろう。ビジネスで着るスーツでそういう仕様にするのはまったく知識がないというか、どちらかというと空気の読めない人だと思う。勿論単品で着るようなカジュアルなジャケットやバラしても着る為のセットアップならマニカやステッチで表情を出すのは良いとは思う。
コスタンティーノの所へ行くという事はサルトリアへ行くという事とは違うと思う。どちらかと言えば彼のセンスを買いに行く、彼にコーディネートして貰いに行くと考えて行った方が良いと思う、でないと余り行く意味がないような気もする。ロンドンハウスのルビナッチの所へ行くのと似ているが更にその気は強い。逆に言えばコスタンティーノのスタイル、肩の雰囲気とかが好きでもないのに有名だからと作りに行くのは馬鹿馬鹿しい。勿論人それぞれ好みはあるだろうけど、あれこれと変に指定せず着るシーンなんかを伝えれば体型やその人の雰囲気を考慮した最善の提案をしてくれる。自分がこの色やこの形が欲しいと思っていてもこっちの方が良いとかそれは似合わないとかも言ってくれると思うし、実際僕もお任せでお願いした。勿論仕事だし彼からの提案だから指定すれば嫌な顔なんかせずその通りにやってくれると思う。

自分の好きなイメージを思い通りに具現化したい人、優秀な縫製工場と捉えてる人はサルトリアなんかに行かない方が良い、それなら日本にもそういった優秀な縫製工場感覚で作れる所は沢山あるからそちらに行った方が、コスト的にも良いだろうし同じ日本人だし余程融通も聞くしイメージが具現化するとは思う、そういった誂え方はそれはそれで良いんだと思う。

僕は彼のセンスや考え方が好きだから全く問題ない。彼自身を見ても非常に素敵で彼に合ってる着こなしをしていると思う。今はSNSなんかでも彼の着こなしが見れるだろうから見て共感する人にはオススメだと思う。

僕の日本の友人もたまに行っているから帰国のタイミングが合えば一緒に行こうと言われることもある。僕はナポリでオーダーできるので、あえて日本で行くつもりはないが。とはいえ日本も年4回と来日頻度も高いしゆったりとした空間で色々話しながらリラックスしてオーダーできるとの事だ、一緒に居て通訳もしてくれる日本のエージェントのエッセチ(ESSECI)のKさんもとても良い人だそうだ。
今の形態になる前はBEAMSや伊勢丹を始めセレクトショップなんかで他のサルトリアと同様にトランクショーをしていたが、今は恵比寿のサービスアパートメントでトランクショーをしている。他にも同様形態でトランクショーをするところもある。BEAMSなんかでやってた時は少し高くなったと思っていたが、その友人に聞くと今は逆に以前より安くなったようだ。ショップの抜き額がなくなったからだろうけど非常に良い事だと思う。
靴に関してもローマのスティヴァレリア メルクーリオ(Stivaleria Mercurio)の2代目のメルクーリオ兄弟の兄アントニオが一緒に来ているから同じように色々提案してくれるだろう、ガットの技術もここでは継承されているからイタリア靴が好きな人には非常に良いかと思う。ちなみにアントニオの息子も靴の道へ、コスタンティーノの息子もサルトの道へ入ったようだ。前はナポリのパオロ スカーフォラ(Paolo Scafola)が来ていたと思ったが。
今年末からサルトリア パニコ(Sartoria Panico)ネームでも仕立てが出来るようだ、勿論彼の工房できちんと仕立てられている筈だろう。アンナ マトッツォ(Anna Matuozzo)も一緒に来日するというか伊勢丹と同時にやるのだろう、多分伊勢丹でオーダーするよりは少しだけ安めの設定にするとは思うが。マトッツォもパニコも伊勢丹でも最近取扱いがあるからならオレもと言った感じなのだろうか、ま、コスタンティーノがプロデュースするのならコスタ色も失わず得意な仕立ての違いやテイスト違いが楽しめて良いのだろう。

彼と初めて会ったのは彼が30代の頃だから随分昔だ、今は50を越えた位だろうか、聞く限りあのおちゃめなでユーモラスな性格は変わってないのだろうな。日本をとても気に入ってくれてるのはとても喜ばしい事だろうしこれからも変わらず来て欲しいと思う。
50ではナポリの職人業界ではまだまだ若造扱いされる部分はあるのだろうけどこれからのナポリの仕立て界を担う世代であるのは間違いないだろう。
7.80を越える去り行くマエストロ世代が生み出した価値を維持できるのか越えられるのか新しい提案が出来るのか、それはそれで楽しみな事だと思ってる。