日本でオーダースーツを仕立てるならどこがいいか 5

今年に入ってからときどき日本で服を仕立てたいと思うことがある。若手で色々な人が出てきて話に聞く機会も増えてきたり、日本の友人達も彼らが仕立てた服を着ている事も多々あるからなのかも知れない。
以前にも少し触れたが日本のテーラーや海外サルトリアのトランクショーで良く作る友人2人に見せて貰った主にここ10年内に誂えたものの中で良いなと思うものやこれは余り良くないなと思うものもあったので、まずは値段など事は気にせず少し書いてみようと思う。

着心地やら稼働などの体感は僕がオーダーしたものではないし僕には小さくて着れなかったので友人2人の所感になるが一応自分がどこで作るかと考えて参考に色々見せて貰ったり聞かせて貰った。

勿論こんな話はどこの飯屋や料理が旨いだ不味いだ程度の主観的な話だろうけどね。


上木規至のSartoria Ciccio(サルトリア チッチオ)
僕はどうもラペルの感じが好きではないので作る事はないだろう。

作りは非常に綺麗なスーツだと思った。
丁寧で妥協の無さが随所に見られ、着用感は軽く柔らかく着心地も良くストレスの無く肩回しなどの稼働も良いとの事だ。縫い手の腕はかなり良いと思う。パンツはカットのみで縫製は外注のようだが上手い縫製だ。
見せて貰った友人のものはシングルだったが他のシングル・ダブルのどの画像を見ても格好良さやエレガントさなどは微塵も感じなかった、寧ろダサいさや変だと感じる、前から見ると胸元だけに視覚的なポイントが圧縮されてる感じがし、少し離れて見ると顔の大きさや撫肩が強調され貧弱に見えるし、横や後から見るともれなくかなりの猫背・前傾姿勢など姿勢が悪く見える中々器用な上衿、ナポリ仕立てのボディに昭和のザ日本ラペルを無理やりくっ付けたような印象を受ける。その友人に実際着て貰っても吹いてしまうくらいに滑稽に見える。その友人も仕立てたは良いが外では恥ずかしくて1度も着ていないとの事だ。
仕立て服はその人に合わせて体型補正し逞しく男らしい良い体型や小顔に見せてくれるのも機能の1つなのだろうけど、全てに逆を行っていると思う。サッカー選手の三浦知良のような逞しい体型の人でやっと普通の体型に見える。何がしたいのか何の為のスーツなのかまるで分からなかった。モデリストとしての能力が低いのだろうか。
好みの違いではなく誰にでもそう見えるとは思う、しかし今年店の前を通った時に沢山仕立て中の服があったので売れているだと思うからこの感じが好きな人が日本人には多いのか、それとも有名で値段も高いからそれで買う人が多いのか。ま、彼の中で完成してるのだろうから将来的な変化もないような気がする。


甲祐輔のSartoria Cavuto(サルトリア カブト)
これは非常に良かった、オススメだ、是非僕も作りたいと思った。

作りは丁寧で細部まで端正で綺麗に仕上がっていて、妥協の無さや拘りも随所に感じ全てにおいて高い技術水準で、外観からもその仕立ての良さが伝わる。着用感はここも軽く柔らかく着心地も良くストレスの無く肩回しなどの稼働も良く、パンツも縫製は外注だが非常に履き心地が良く足捌きやしゃがんだ際や立ち上がりの際もノンストレスで良いとの事。
服は着て格好良い事が1番大事だという事が良く分かるスーツで、フィッティングも非常に良いがモデリストとしての能力の高さもとても感じる。着用した友人を見るとこのように見えるようにしてくれと言った事が分かるし、きちんと視覚的な部分や体型の補正も構築され行われているのが分かる。数多くの所で仕立ているその友人も大満足の男らしく色気のあるスーツだ。
LIVERANO & LIVERANO(リベラーノ & リベラーノ)で修行したのに自分の師匠はFrancesco Guida(フランチェスコ グイーダ)だという所から窺える彼の性格も好きだ、もしくはやはりご存知の通りAntonio Liverano(アントニオ リベラーノ)が余程。。。
是非作ってみたいが彼が東京に来るタイミングと自分が帰国するタイミングが合わないと難しそうだ、自分のタイミングでオーダーするなら彼のアトリエのある石川県金沢市に小旅行がてらに行くのが良いのかも知れないな。


直井茂明のSartoria Naoi(サルトリア ナオイ)
真のサルトリアナオイが出るのなら作ってみたいと思った。

作りは見た中では1番丁寧で綺麗な部類に入る、とても端正で高い技術を感じるし上手い、彼は確か国内でしか学んではないと思うが別に海外に修行に行かなくとも技術は身に着けられるという良い例でもあると感じる作りだ、ボタンホールも美しい。
着用感は軽さや柔らかさやフィット感は非常に良いそうだ、着心地も良くストレスの無く、特に肩回しなどの稼働が良く、パンツも自前で縫っているようで非常に履きやすいとの事。
ただ以前悩める30代というブログ主がオーダーした服の肩回りやラペルを見ると吹いてしまう位のやり過ぎ感があると少し触れたが、僕の友人が仕立てたその服はそれ程イセ込や攻めたフィッティングがされておらず、ラペルも当人の顔や体型に合わせた感じで体型も補正され、これはこれで良いかと思える感じだった。綺麗に構築するなと思う、アイロンも巧いんだろうな。
予想だが彼の所属するセレクトショップSharon(シャロン)の指示や意図があるのだろう、多分あのブログ主の服はSciamat(シャマット)を模写させて作っているのは誰もが1目見れば分かる事だし、新しいモデルも画像で見る限りだが上記のサルトリアカブトに似ているというかベースにしている感じだ。技術的な部分は非常に高い水準にあるだから、シャロン色を捨て直井本人のハウスモデルというか本当の意味でサルトリアナオイの服が仕立てられる時には作ってみたいと思う。今のままではシャロンと一緒に心中するだけだと思う。


山口信人のLA SCALA(ラ スカーラ)
特に惹かれるものは無かったので作らないと思う。

綺麗な服を仕立てるなと思う、ここも日本人らしく非常に端正で丁寧だ。
着心地も良いそうだが、どう見てもサルトリア ソリート(Sartoria Solito)に似ている、そこに長く勤めれば手癖やら作るものが似ているのは当然なのだろうけど彼の場合は確か短期の休暇を2度利用し少し下働きした程度だというから完全にただ単純にパクってるだけなのだろう、今度はSciamat(シャマット)かSartoria Naoi(サルトリア ナオイ)を模写したであろう非常に似たモデルも出している所から察するに、そういった部分に関しては本人には創造性や美的センスなどの意匠やサルトリアとしての信念などは無いと感じる。それともそれを伊勢丹やアル中のオッサンがさせているのか。ならば腕は良いのだから早くそこから脱した方が良いじゃないのかとも思う、直井同様に少し意識してるとか似ている位ならそういう服が好きなんだな程度や模写は学びの基礎や第1歩だから些末な事で悪い事ではないのだろうが、ここまで似ているとちょっとと思う。確かにシャマットやソリートに比べれば安いし作りも丁寧なのかも知れないからそれで買う人も多いのだろう。


東徳行のSartoria Raffaniello(サルトリア ラファニエッロ)
欲しいとは思わなかったので余り書く事はない。

パターン投げ工場製に毛の生えた感じだという雰囲気が漂う服だと思った。出来合いの芯地に今や袖付けも外注だそうで友人が作ったものも何だか野暮ったくて変だった、着用感を聞くと結構当たる場所がありストレスがあると言うし、着用した感じも余り格好良くないからフィッティングというかスタイリングも余り上手くないんじゃないかと思う。

tailor 大島崇照
これは是非作ってみたいと思った。

英国で修行したので英国風のカチっとした構築的な仕立てでとても美しく、きちんとした高い技術で丁寧な仕事をしている。着心地や稼働もとても良いようだし、フィッティングも上手く来た当人を知的で逞しくスタイリング出来ている。しっかり打ち込まれた良い生地で作りたくなる感じだ。確か今は大阪に居るというから機会があれば行ってみたいと思った。

ちなみに上記の東・大島はストラスブルゴ出のテーラーで、ストラスブルゴは頻繁に色々なサルトリアのトランクショーもやっているがそのサルト2人から、東と松熊は酷いと直接聞いたからプロの目から見ても酷いものなのだろう、逆に大島は非常に堅実で丁寧な良い仕立てをすると高評価を聞いた、先日他界した某サルトも国内での直しは実際仕立てたものや仕事を見て大島のみに許可を出していると、東の事は上辺や見える所だけナポリっぽい真似事をして中の仕事は全くのゴミだ、そこが許せんとも言っていたな。
松熊良太・Pinorso(ピノルソ)はただただダメ過ぎる、確かリングヂャケットだかどこだかの1ライン工だったので当人はきちんとした仕事は出来ず適当な作りに外注頼り、フィッティングも下手、その辺りの全てのダメさが外側に滲み出ている。流石にその辺りが一目瞭然なので買う人は余り居ないとは思うが。ついでに彼らはORAZIO LUCIANO(オラッツィオ ルチアーノ)も含めてオラッツィオ・東・松熊とは一緒にされたくないとの事だ、一般的に見れば同じ店で扱われていれば客はサルトリアの内の1つとして一括りとして見てその3者も自分も服を仕立てる選択肢となり好みや値段だけで同じような仕事をすると思われる事に非常に懸念を抱いていたな。料理と同じく単純に修行が足りない感が否めない。


沢山見せて貰ったが切りがないので今回はこの6名を書いてみた。
仕立てた友人達と僕が実際に見て触らせて貰った所感に過ぎないし、特に見た目に関しては好き嫌いがあるし顔や年齢や体型によって似合う似合わないもあるとは思うからそれが良いと思う人はそれで良いとは思う、所詮は物、車だって何だって趣向やら評価はまちまちだろう。
それにまだ皆若い人達なのでこれから先良いサルトになる可能性も大いにあると思う。ただ僕は根本的な仕立て服に対する考え方がそれじゃ変わらないんじゃないかと思う人も居るし、センスや技術も大して伸びないんじゃないかと思う人もいる。勿論エンジェル投資家感覚で彼らの研鑽の為実験台となり応援したいと思っている人はそれはそれで非常に良く素晴らしい事だと思う。

今回挙げた中で僕が作りたりと思ったのは
甲祐輔のSartoria Cavuto(サルトリア カブト)とtailor 大島崇照
の2人、ただその他も含めて日本人の作るものはやはり丁寧で綺麗だなと感じだ。変化があれば直井茂明のSartoria Naoi(サルトリア ナオイ)も良いとは思った。
まだ老舗やら他の人や工場製なども色々見せて貰ったのでまた今度書こうと思う。ま、書いた所でこんなブログ見てる人も大して居ないだろうし、オススメ書いたところで誰の何の為にもならないとは思うけど。。。